琉球エアーコミューター(RAC、波平進社長)は北大東村などの小規模離島に住み、島外の高校見学会への参加を希望する中学3年生に1往復分の航空券を無償提供している。2018年に始まった同事業は進学希望者のほとんどが利用し、離島の中学生にとって欠かせない支援となっている。小規模離島の生徒が巣立つ「15の春」を支える取り組みについて、担当者は「経済的負担の大きい小規模離島の子どもたちを、少しでもサポートできれば」と力を込めた。
支援するのは同社の就航路線がある北大東村、南大東村、多良間村、与那国町に住み、高校進学を希望する中学3年生とその保護者。年間30~40組の親子が利用し、今年も50組100人が支援対象となっている。一人につき1回限りで、1往復分の航空運賃をRACが無償提供する。
背景には、小規模離島ならではの事情がある。4島には高校がなく、中学卒業後に進学するには島外へ出ざるをえない。高校見学や体験入学をするにも飛行機代がかかり、家計の大きな負担となる。
2022年に娘が同事業を利用した北大東村の長濱利明さん(44)は「高校の先生の話を直接聞ける見学会の機会は貴重」と話す。RACの支援で、学校の補助事業と合わせて高校見学へ複数回行けるようになったという。「事業を続けてもらえば、中学生の選択肢が増える」と歓迎する。
RACは離島の足を担う航空会社として、できる限りの支援を続ける方針。担当者は「希望と不安を抱いて夢に向かう子どもたちを応援し、いつか生まれ育った島や沖縄で活躍してくれたら」と期待した。
今年も7月から募集が始まった。申し込み締め切りは11月30日。問い合わせは県教育庁義務教育課、電話098(866)2741。(政経部・大川藍)
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