男性店員が刺された宝飾店付近を調べる大阪府警の捜査員=大阪市中央区で2024年8月7日午後2時56分、小坂春乃撮影

 大阪市中央区の宝飾店で男性店員が刺されて死亡し、店の高級腕時計が奪われた事件で、逮捕された中国籍の后馭波(ほう・ゆぼ)容疑者(27)が、頭髪のないスキンヘッド姿で来店していたことが捜査関係者への取材で明らかになった。容疑者の実際の髪形は短髪だった。大阪府警は店の近くでスキンヘッドのゴム製マスクを押収。店を襲撃する際に変装したとみている。

 后容疑者は7日午後1時35分ごろ、大阪市中央区心斎橋筋1の宝飾店に入店。6280万円相当の高級腕時計を奪い、店員の弘中辰弥さん(30)を包丁で刺したとする強盗殺人未遂の疑いが持たれている。弘中さんはその後死亡し、府警は容疑を強盗殺人に切り替えて捜査している。

事件後に宝飾店付近を歩く后容疑者とみられる人物=大阪市中央区で(近くの飲食店提供)

 捜査関係者によると、后容疑者は髪をそり上げたスキンヘッド姿で、サングラスをかけて来店していたことが目撃情報などから明らかになった。事件後に店から逃走したが、府警は宝飾店近くの空き地で、顔全体を覆うゴム製の「ラバーマスク」を発見。毛髪がないスキンヘッドのマスクだった。同じ場所からは血痕のようなものが付着した包丁1本も見つかった。

 空き地近くの飲食店に設置された防犯カメラには、事件直後に后容疑者とみられる人物が何かを捨てるような様子が記録されていた。容疑者は短髪で、宝飾店を訪れた時の白いTシャツとは異なる黒っぽい服を着ていた。逃走中に着替えたとみられ、府警は外見や服装を変えることで捜査を逃れようとしたとみている。

 后容疑者は事件から約2時間半後、関西国際空港にいるところを府警捜査員に職務質問され、容疑を認めたことから緊急逮捕された。【林みづき、川地隆史】

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