文部科学省は8日、2023年度に小中学校に通う年齢の外国籍児の1割弱にあたる1万1464人が学校に通っているかが確認できない「就学不明」の状態だったと発表した。22年度の前回調査から微増し、依然として多くの子どもが学校教育を受けられていない恐れがある。日本語を習得するための指導を必要としている小中高校生も前回(21年度)から1万816人増え、6万9123人だった。初めて6万人を超え、過去最多となった。
就学不明の調査は、全国1741市区町村を対象に実施し、1260自治体(72・4%)に外国籍の子どもがいた。23年5月1日時点で住民基本台帳に記載されている就学年齢の外国籍の子どもは15万695人だった。このうち、84・4%にあたる12万7239人は国公私立の小中学校に在籍し、7・3%にあたる1万993人は外国人学校で学んでいた。
「就学不明」は22年度の前回(1万677人)から787人の増加で、内訳は、住基台帳上の住所にいないなどの事情で就学状況が確認できない=7199人▽市区町村に届け出ないまま他の自治体へ転居・出国するなどして分からない=3833人▽市区町村が就学状況の確認作業をしていないなど「その他」の事情=432人――だった。学校に在籍していない「不就学」は970人で前回より192人増えた。
一方、日本語の指導が必要な公立の小中高校生は23年度時点で6万9123人に上った。学校で支援を受けられている子どもは約9割の6万2054人で、残りの1割はサポートを受けられていない可能性がある。
進路状況では、日本語の指導が必要な高校生の中退率は21年度の前回から1・8ポイント増の8・5%で、高校生全体(1・1%)の約8倍だった。非正規労働に就く割合も高校生全体(3・1%)の12倍となる38・6%だった。文科省の担当者は「(日本語指導が必要な)児童・生徒が増えていて、現場の対応が追いついていない。特に高校は小中学校と比べて特別な指導を実施している割合が低く、改善の余地がある。進路指導やキャリア教育を充実させることも必要だ」と話した。【奥山はるな、堀智行】
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