[命ぐすい耳ぐすい 県医師会編](1340)

 皆さんは骨粗しょう症と聞くとどのようなイメージをお持ちでしょうか。「骨がスカスカになる病気だ」とか「骨折しやすくなる病気だ」などという印象が思い浮かぶでしょうか。

 骨というものは常に生まれ変わろうとして、日々新陳代謝を繰り返しています。バランスが保たれていると良質な骨が形成されますが、「骨を溶かして壊す力」の方が「骨を作る力」よりも上回り、骨密度が低下すると、骨粗しょう症が引き起こされてしまいます。

 ただ、いざ骨折するまでは痛みなどの自覚症状がなく、気づきにくいことが多いです。

 近年認知度が上がっているロコモ(ロコモティブシンドローム)という言葉がありますが、骨粗しょう症とも非常に深い関係があります。ロコモとは体を動かす仕組みが衰えた状態のことです。進行すると階段の上り下りなどに支障を来し、その後には介護が必要になり、寝たきりになることもあります。

 骨粗しょう症で骨折が起こると、今までできていたことができなくなってしまい、ロコモにつながります。

 骨粗しょう症の予防はマラソンのようなもので、コツコツ長期にわたって継続する必要があります。いざ骨粗しょう症になったとしても、薬で骨がすぐに復活し、丈夫になるわけではありません。日頃から栄養バランス(カルシウムやビタミンD、ビタミンKなど)を気にかけ、禁煙し、アルコールを控えめにすることも大事です。

 日光浴も取り入れ、ストレスがないように過ごすことも大切です。運動習慣を見直すことも、ロコモの進行予防に一役買います。

 私たちの体を支えてくれている骨を意識することはあまりないかもしれませんが、一度骨折で機能を損なうと、元の生活に戻るのは容易ではありません。

 骨粗しょう症とロコモを予防することで健康寿命を延ばし、自分のやりたいことをしたり、大事な人と過ごしたりする時間が少しでも長くなるような生活を心がけてみるのはいかがでしょうか。

(伊波優輝・沖縄県立宮古病院整形外科=宮古島市)=第1、2、4水曜日掲載

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