千葉県警は、県内のコンビニエンスストアと連携し、各店舗を担当する警察官を決めて巡回させる「アシストポリス制度」の運用を6月から始めた。犯罪の抑止や、事件捜査で協力し合える「顔が見える関係」を築き、地域の安全・安心につなげることが狙い。
同制度は、交番などで勤務する警察官が担当するコンビニにパトロールで立ち寄り、困り事の相談に応じたり、防犯指導をしたりする。県コンビニエンス・ストア防犯協力会に加盟する9社約2800店舗が対象になっている。
県内ではこれまでも、一部の警察署が独自に実施していた。2022年12月下旬に始めた松戸東署は、警察官が3日に1回立ち寄る体制を整えた。同署で制度を開始してから半年後、実施している56店にアンケートを実施したところ「警察官が来てくれるだけで安心感がある」「警察が身近に感じた」「防犯意識が高まった」といった好意的な声が多く寄せられた。
さらに、店員の声掛けなどで特殊詐欺の被害を未然に防いだ件数が急増。同署管内で22年の2件から、23年には13件へと増加し、担当者は「(犯罪の防止にも)効果があった」と手応えを口にする。
一方で、県内ではSNS型投資詐欺やロマンス詐欺、自動車盗などの犯罪が急増するなど、刑法犯の認知件数は増加傾向で推移している。民間団体や企業と協力しながら犯罪を防ぐ仕組みを模索してきた県警は、店舗数が交番・駐在所の数の6倍あり、ATM(現金自動受払機)も備えているコンビニに着目。「情報の発信や収集のための拠点を担ってもらいたい」と考え、全県的に制度を推進していくため、同防犯協力会に協力を求めた。
千葉市中央区のコンビニで7月16日、同制度のデモンストレーションが報道陣に公開された。店員に警察官が「何か困った事はありますか」と声をかけ、相談に応じていた。
同防犯協力会の野地篤会長は「コンビニは地域防犯でも非常に大切な存在となる。警察やコンビニで協力し、よりよい世の中を実現するお手伝いができれば」と話している。【林帆南】
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