損害保険大手4社が企業・団体向け保険契約でカルテルを結んでいた問題で、公正取引委員会は5日までに、独占禁止法違反(不当な取引制限)による売り上げを認定し、これに基づく課徴金の納付を命じる方針を4社に通知した。京成電鉄と東京都向けの保険契約を巡り違反があったとし、課徴金は計1億5500万円に上る見込み。関係者への取材で判明した。
納付命令を受けるのは、東京海上日動火災保険▽損害保険ジャパン▽三井住友海上火災保険▽あいおいニッセイ同和損害保険――の4社。公取委は4社が少なくとも八つの企業・団体との保険契約で独禁法に違反した疑いがあるとみて、昨年12月に立ち入り検査するなど審査を進めていた。
関係者によると、4社は京成電鉄向けの契約で、鉄道の火災・地震保険、事故などに伴う賠償責任保険の契約でカルテルを締結。複数の会社でリスクを引き受ける「共同保険」の仕組みを悪用し、仕切り役の「幹事社」が高額な契約をできるよう調整するなどした。東京都との契約では都立病院の賠償責任保険や警視庁のパトカーなど自動車保険の入札で談合したという。
このうち京成電鉄との契約に関して公取委は、損保ジャパンを除く3社に計1億2000万円の課徴金納付を命じる方針。損保ジャパンについては課徴金減免制度(リーニエンシー)を利用して自主的に違反を申告したため、課徴金は見送るとみられる。一方、東京都との契約は2件とも損保ジャパンが引き受けており、同社にのみ3500万円の納付を命じる。
損保4社のカルテルを巡っては、公取委がすでに東急グループと仙台国際空港の2社向けの契約でも行政処分を科す方針を通知。ただし入札のやり直しなどが行われているため排除措置命令のみを科すとみられる。この他、コスモエネルギーホールディングス、コスモ石油▽発電会社・JERA(ジェラ)▽エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)▽シャープ――向けの契約についても近く審査を完了し、損保4社に対する行政処分を決定する模様だ。【渡辺暢】
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