能登半島地震で大きな被害が出た石川県輪島市門前町浦上地区の代表者が1日、同市役所を訪れ、地区中心部に災害公営住宅の建設を求める陳情書を坂口茂市長に提出した。同地区は半数近い集落が無人となっている。一部地区は同住宅への入居という形での集団移転を希望しているといい、同市内で集団移転に向けた動きがあったのは初めて。
同地区は26の集落があり、市によると224世帯430人が暮らす(7月1日現在)。山あいに集落が点在し、1月の地震では地滑りや道路の寸断、住宅の全半壊など甚大な被害が発生した。住民が避難して無人状態の集落は11カ所にのぼる。
喜田充(みつる)区長会長(75)らが5月、仮設住宅に入居した一部の住民(62世帯)に実施したアンケートでは、災害公営住宅を望む声が8割弱あった。また、地区の中心部にある公民館から約4キロ離れた「中屋集落」では11世帯が暮らしていたが、大半の住宅が全半壊。7月末にあった住民の会合で、8世帯が集団での災害公営住宅入居を希望し、集落の集団移転で合意した。
災害公営住宅は、都道府県や市町村が国の補助を受けて整備し、安い家賃で貸し出す住宅。
陳情書を受け取った坂口市長は「集落の集団移転は重い決断。市では最初の要望となる。市としてもしっかりと受け止め、ご意向が実現できるよう努めたい」と答えた。喜田区長会長は「大変力強いお答えをいただいた。地域一丸となってこれからのことを考えたい」と話した。【国本ようこ】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。