東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域になり、2年前に避難指示の解かれた福島県双葉町の双葉南小学校旧校舎などに、外国人とみられる男性が立ち入る動画がSNS(ネット交流サービス)に投稿・拡散されている。事態を重く見た双葉署は1日、旧校舎、旧町役場、旧幼稚園舎の3カ所を町職員や民間のパトロール業者と見回り、施錠や立ち入り禁止措置の状況を点検・確認した。
一連の動画は動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」で7月に投稿された。黄色い防護服姿の男性がランドセルの残った教室を歩く動画は7月13日に投稿され、500万回以上再生された。旧町役場のほか、医療機関やパチンコ店、商店など原発事故で無人になったとみられる建物内に立ち入った映像も投稿され、物品を触るなどの行為が映っている。
旧校舎は町が震災遺構としての活用を検討し、国による無償解体を申請せずに残していた。動画の投稿を受け、町は双葉南小の入り口に日本語と英語で立ち入り禁止を求める張り紙やバリケードを設置。町の担当者は「復興に向けて頑張っている気持ちを逆なでする内容で迷惑」と憤る。町立ふたば幼稚園の旧園舎でも今年に入り、扉の一部がこじ開けられているのが発見されたという。
双葉署の佐久間正和署長によると、空き巣目的ではなく、荒廃した建物を撮影した映像をSNSに投稿することが目的で立ち入るケースも散見されるという。佐久間署長は「今回映像が出回った学校や役場が動画投稿者らのランドマークや『聖地』になってはいけない」と指摘し、民間のパトロール業者と連携し、敷地近くでの待機時間を増やすなど重点的に警戒するという。【尾崎修二】
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