耐震性不足のため2006年度を最後に非公開となっていた京都市中京区の二条城本丸御殿(重要文化財)の一般公開が9月1日、18年ぶりに再開される。7年近くかかった耐震補強と大規模修理が3月に終了。屋根をふき替え、壁を塗り直し、畳の表替えや障壁画の修理も実施され、かつての輝きを取り戻した姿を安全に見学できるようになった。春や秋の期間限定ではなく初めて通年で公開し、観覧者を迎える。
公開再開を控えて記念式典が8月1日にあり、関係者に披露された。
本丸御殿は、二条城が皇室の離宮となった明治時代に、天皇の命で京都御所の北側にあった桂宮家(断絶)から移築した。いずれも江戸後期の1790~1849年に建てられた、玄関▽御書院(ごしょいん)▽御常(おつね)御殿▽台所及び雁之間(かりのま)――の4棟からなり、京都で活躍した絵師たちの障壁画が彩る。「近世の宮廷文化」を見ることができ、豪勢な唐破風の車寄せや優美な照明器具、兵庫・名塩の雁皮紙のみの白いふすまなど、近代らしい設備やしつらえも見どころとなっている。
237面ある障壁画は、模写に替えている二の丸御殿(国宝)とは異なり、原本を修理して展示。唐紙貼りとなっているものは、明治の移築時の制作で用いられた版木が残っており、大半を刷り直したという。
二条城を含む「古都京都の文化財」が世界文化遺産に登録されてから、今年でちょうど30年。式典で二条城を所有・管理する京都市の松井孝治市長は「武家と宮家、二つの文化が融合した文化遺産が内外の観光客、そして市民に愛される存在となるよう継承発展に努めたい」とあいさつした。
8~22日には市民向けの無料内覧会がある(抽選終了)。一般公開は30日前からの事前予約制。観覧料(一般1000円など)とは別に入城料(同800円など)も必要となる。【南陽子】
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