鉄道の混雑率を示す目安から、新聞や週刊誌が読めるかどうかという基準が消える。列車内で新聞や週刊誌を広げて読む人が少なくなったため、国土交通省が現状に即してこれらの例示を削除し、表現を改めた。
国交省によると、混雑率を分かりやすく示すために図と言葉による目安を定め、遅くとも2001年から使っている。現在は、混雑率150%が「広げて楽に新聞を読める」▽180%が「折りたたむなど無理をすれば新聞を読める」▽200%が「体がふれあい相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める」――と記載。国交省のホームページなどでも示している。
しかし、近年はスマートフォンなどの普及で、列車内で新聞や週刊誌を読む人がめっきり減った。新しい目安の表現では、150%が「肩が触れ合わない程度。ドア付近の人が多くなる」、180%は「肩が触れ合い、やや圧迫感がある。ドア付近の人は窮屈となり、体の向きを変えるのが困難となる」などと表現する。
国交省は鉄道事業者や有識者に意見を聞き、新しい表現を検討した。代わりにスマートフォンを例示することも考えたが、「混雑した電車の中でスマホを見るのはどうか」という異論があり、見送ったという。
国交省は、都市部の満員電車が社会問題になったことから、東京圏のピーク時の平均混雑率を150%に抑えることを目標としている。実際の平均混雑率は1975年の221%から下がり続け、新型コロナ禍が始まった20年は107%にまで低下。23年は136%に戻った。【原田啓之】
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