【本部】沖縄美ら島財団とアジア海棲(かいせい)哺乳類ストランディングネットワークは8~10日の3日間、「第4回国際ワークショップ」を本部町の海洋博公園内で開いた。国内外の海洋学者や獣医師ら約60人が参加。死亡漂着したクジラの解剖技術や調査データのサンプリング方法、各国連携の仕組みについて知識を深めた。同ネットワークのワークショップは国内初開催。(北部報道部・下地広也)

 ストランディングは、クジラやイルカなどの海の生き物が河川に迷い込んだり、陸に打ち上がったりする現象。発生原因は感染症や病気、餌の深追いの他、海洋汚染などの説があるが詳しいことは分かっていない。

 参加者は10日、コブハクジラの死骸(体長4メートル)を解剖し、体内に蓄積した化学物質や死因などを調べた。脂皮や内臓などを包丁で切り取り、重さを量り、研究に必要な部位を回収した。香港から参加したナオミ・ブラナンさんは「専門家がポイントを詳しく説明してくれた。貴重な体験だった」と喜んだ。

 同財団動物研修室の小林希実さんは「最新の技術を学び、各国の研究者たちとネットワークもつくれた。この関係を活用し、研究成果を社会に還元したい」と話した。

 フィリピン大学のレミュエル・アラゴネス教授は「アジア各国に参加を呼びかけ研究基盤を広げたい。今後も鯨類の保全、人類との共存に向けて取り組んでいく」と決意を述べた。

 今回のワークショップは事例報告や講演会、イルカがビーチに漂着した場合の対処法などの研修会もあった。次回は2年後、シンガポールで開催を予定している。

(写図説明)国際ワークショップで講師の話に耳を傾けるアジアの海洋学者ら=10日、本部町の沖縄美ら島財団

(写図説明)コブハクジラの死骸を解剖する参加者

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