名古屋市が太平洋戦争中に起きた名古屋空襲などについて学ぶワークショップに参加する高校生を募集したところ、定員15人に対し、わずか4人しか集まらなかった。市はワークショップ自体を中止することを決めた。市への取材で明らかになった。
市によると、中止になったのは、12月14日に開く平和継承イベントに向けたワークショップ。小中学生向けの啓発動画を高校生が制作するため、今月30日に名古屋空襲などについて学び、8月下旬から9月上旬にかけて空襲体験者を取材する予定だった。
対象者は市内在住か在学の高校生で定員15人。7月2~21日に受け付けていたが、応募者はわずか1人だった。市は締め切りを延長し、個別に高校教員に声かけするなどしたが、26日までに3人増えただけだった。
平和継承イベントは、名古屋空襲の犠牲者を悼み、記憶を語り継ぐために市が今年制定した「なごや平和の日」(5月14日)の一環として企画。ワークショップの中止に伴いイベントでの動画披露は取りやめになったが、イベント自体は予定通り開催される。
名古屋市の担当者は「4人では最後まで続けられない可能性もあり、中止を決めた」と説明。集まらなかった要因について「ワークショップに参加する日数が多いことが考えられる。来年は戦後80年の行事もあり、今後、市民が参加できる取り組みをしっかり考えたい」と話している。
ワークショップで高校生が取材する予定だった空襲体験者の紹介を市から依頼されていた名古屋市名東区の「戦争と平和の資料館・ピースあいち」の宮原大輔館長は「中止は残念。関心のある若い子は多くはないので、個別の声かけが必要だったのではないか」と話す。
「なごや平和の日」を巡っては、5月14日に初めて開いた祈念式典の参加者が市関係者も含め約100人しかおらず、出席した空襲体験者から「少なくて残念。年月がたつとこんなものなのか」との声も上がっていた。
平和の日は私立東邦高(名古屋市名東区)の生徒が2014年以降、河村たかし名古屋市長や市議会への請願書などがきっかけで制定された。【川瀬慎一朗】
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