原子力規制委員会は26日の審査会合で、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の原子炉直下に活断層があることを否定できず、新規制基準に適合しないと結論付けた。新規制基準は、活断層の真上に原子炉などの重要施設を造ることを禁じている。結論が覆らなければ2号機は再稼働できず、廃炉が避けられない。
規制委はこれを受け、2号機の審査について、31日の定例会で大筋で最終判断する見通しだ。審査を通過できず再稼働が認められない「不許可」となれば、規制委発足後、初の判断になる。
敦賀原発は全国で唯一「浦底断層」という活断層が敷地内を走る。マグニチュード(M)7・2程度の地震を起こすとされ、2号機の原子炉から約250メートルしか離れていない。
審査では、①浦底断層から枝分かれするK断層に「活動性」があるか②K断層が2号機の原子炉直下まで延びる「連続性」があるか――の二つが焦点になった。原電が掘ったトレンチ(試掘溝)の地層や、採取した試料に含まれる火山灰や鉱物などから活動年代を調べた。
原電は、①、②とも否定して「活断層ではない」と主張したが、規制委は「原電の主張は科学的根拠に乏しい」などとして、①と②をいずれも「否定できない」とした。
2号機を巡っては、規制委の有識者調査団が2013年、直下に活断層があるとする報告書をまとめ、規制委が15年に受理した。
ただ、報告書は最終結論ではなく、あくまで「審査の参考」とされたため、原電は2号機の再稼働を目指して15年に審査を申請した。規制委は、2号機については他の項目を先送りし、直下の断層が活断層に該当するかどうかにほぼ対象を絞って審査を進めた。
しかし20年、原電が審査資料の約80カ所の断層データを規制委に無断で書き換えたことが発覚。さらに、約1300カ所に及ぶ資料の誤りも見つかった。規制委は審査を2回中断して原電本店に立ち入り調査するなどの異例の対応をとった。
規制委は原電に審査の申請書を出し直させた上で23年9月に審査を再開したが、山中伸介委員長は「最後の結論を出す審査になる」と述べ、今夏に最終判断する意向を示していた。【木許はるみ】
敦賀原発
東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型の1号機(出力35・7万キロワット、廃炉中)と、加圧水型の2号機(同116万キロワット)からなる。1号機は国内初の商業用軽水炉として1970年に営業運転を開始。この年開幕した大阪万博に電気を送った。2号機は87年に営業運転を始め、福島事故以降は停止している。3、4号機(改良型加圧水型、同各153・8万キロワット)の増設計画があり、2004年に国に審査を申請したが、福島事故で事実上凍結されている。
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