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東北が梅雨末期の大雨に見舞われています。記録的な大雨となった秋田県や山形県では河川の氾濫が相次ぎ、秋田県では土砂崩れによる行方不明者が出ています。山形県では線状降水帯が発生し、大雨の特別警報が発表されました。引き続き厳重な警戒が必要です。

■線状降水帯が発生…河川は氾濫

これまでに経験したことのないような大雨に見舞われた山形県。25日午後1時5分、気象庁は酒田市と遊佐町に大雨特別警報を出しました。

気象庁担当者
「何らかの災害がすでに発生している可能性が極めて高く、警戒レベル5に相当します。命の危険が迫っているため、直ちに身の安全を確保しなければならない状況です」

酒田市内の住宅街は午前中から濁った水で覆われました。

東北では梅雨前線が停滞。断続的に活発な雨雲がかかりました。特に山形県では危険な大雨となり、午前9時過ぎには酒田市・遊佐町に記録的短時間大雨情報が発表。午後1時過ぎには線状降水帯も発生しました。

■「倒木で通れなくて」孤立状態に

一時孤立状態になったという男性に話を聞きました。

一時孤立した 杉浦翔太さん
「山中にある仕事場で仕事をしていたが、雨があまりにもひどく、きょうは仕事をやめようと。道が2つある、街におりるために。その2つとも倒木で通れなくて、道中も道路の半分が崩落している状態」

迂回路を見つけて、今はふもとの避難所にいるといいます。

特別警報が出ていない地域にも被害が出ています。山形・鮭川村の現場に駆け付けた消防隊員。その視線の先には、取り残されたとみられる住民の姿がありました。ロープを括りつけた浮輪を持って情況確認に向かいます。

消防隊員
「(Q.こういう地域は他にもあるか)把握している分にはここだけ。(Q.向こうに何人いるか分からない)在宅確認できているのは向かいの家の1軒だけ。奥の2つは確認中」

酒田市の一部と遊佐町全域、新庄市全域には警戒レベルが最も高い、緊急安全確保が出されました。

避難した人
「寝袋持ってきて。携帯を自動車に忘れたからって。せがれから電話くれば大変だからって取りに行ったんですけど。家はどうでもいいから。命が大事だから」

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■逃げようとしても「家から出られず」

■逃げようとしても「家から出られず」

大雨はまず、秋田県由利本荘市を流れる石沢川を氾濫させました。市内には86世帯、231人に警戒レベル5の緊急安全確保を発表しました。

避難した人
「逃げようと思ったが、胸あたりまで水量があって。水かさだけでなく、水圧もすごかった。家から出られなくて」

避難所に身を寄せていた70代の男性。窓から浸水してきているのに気付いたといいます。

避難した人
「水流で出られませんので、2階に避難して不安な夜を過ごした。私と妻と孫」

決壊した石沢川の堤防。元々は緑が見えていた所も、あふれた水に覆われました。

付近を流れる小川にも濁流の痕跡がありました。川沿いのブロック塀は崩壊。住民は泥をかき出す作業に追われていました。

女性
「ここまで泥水がすごかった。床下はたぶん入った。小屋と車庫は15センチくらい水が入った。今まで“災害”と言えば芋川や子吉川、そういう所しか頭になかった。災害って恐ろしいね」

県の総合防災課によると、住宅の被害は午後3時時点で床上浸水が17棟、床下浸水が25棟となっています。

男性
「最初(土砂が)ちょろちょろっと入ってきたんだけれど、2〜3分経たないうちにどとっと。びっくりしたあれは。早くて。ここまで入ってきたもんな」

湯沢市の国道13号では、土砂災害によって60代の男性1人が行方不明となっています。

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■土砂崩れや断水も…被害相次ぐ

■土砂崩れや断水も…被害相次ぐ

午後2時、本流の子吉川も氾濫しました。横手市では午後4時半現在、5カ所で土砂崩れが発生。床上・床下浸水の被害は合わせて35棟に上っています。

自宅の目の前まで山が崩れてきたという男性は…。

裏山が崩れた住民
「今までどんな大雨が降っても、こういうことはなかった。え?ついにここも“想定外”。(Q.家に土砂が迫って直撃を免れた?)そうなんですよ。本当にまさかのまさか」

周辺では断水も発生しました。

男性
「この辺りは年寄りが多いので、水をくみに来られる人がいない。地域の人にも若い人たちがくんで持って行っている」

なぜ、東北などを中心に大雨となったのでしょうか。

気象庁 杉本悟史予報課長
「前線が東北地方にかかるように伸びている。この前線や低気圧に向かって、高気圧の縁をまわるようにして、暖かく湿った空気が南から東北地方に流れ込んでいる」

気象庁は午後8時過ぎ、山形県に出していた特別大雨警報を大雨警報に切り替えました。一方で、最上川の水位が上昇し、氾濫の恐れがあるほか、内陸部でも土砂災害などの危険が高まっているとして、注意を呼び掛けています。

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