新型コロナの全国の感染者数が10週連続で増加しています。
感染力が、これまでで最強と言われる変異株『KP.3(ケーピースリー)』が猛威を振るっています。
■猛威ふるう変異株「KP.3」とは?「感染力が最強レベル」
新型コロナの感染状況です。
直近1週間の全国約5000カ所の定点医療機関からの報告総数は5万5072人。
1医療機関あたりの全国平均は11.18人と、いずれも10週連続で増加しています。
新型コロナは流行についての指標はありませんが、季節性インフルエンザの場合は、1医療機関あたりの感染者数が、
1人以上で『流行入り』、
10人以上で『注意報』、
30人以上で『警報』が発令されます。
最新の新型コロナの感染者数を見ると、鹿児島県は30人以上、最も多く、31.75人です。佐賀・宮崎・沖縄が30人が目前。10人以上が、20県です。
新型コロナ感染者数 この記事の写真は27枚新型コロナは、毎年夏に大きく患者数が増えています。
過去3年、いずれも8月に感染のピークを迎えています。
今、猛威を振るっているのが、変異株『KP.3』です。
グラフの紫の部分が『KP.3』ですが、6月の時点でコロナウイルスの約75%が『KP.3』になっています。
いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長によると、「いま陽性者のほとんどが、『KP.3』と考えていい」ということです。 猛威ふるう「KP.3」
『KP.3』の特徴です。
ワクチンや感染で得た免疫をかいくぐる力が強いため、感染力が強く、今後さらに流行が拡大していく可能性があるということです。
「感染力が今までで最強レベル」 「KP.3」の特徴
診察の現場はどうなっているのでしょうか。
伊藤院長のクリニックでは、6月になって患者さんの約3割が、コロナ陽性になりました。
6月半ば以降は約4割、7月2週目には約5割と、約1カ月ほどで陽性者は1.5倍に。 現在、一日約10人が陽性と診断されています。
伊藤院長のクリニックでは、7月6日ごろから受診者が殺到し、朝に受付をしても診察が夕方になることもあります。
診察できない人には、キャンセル待ちをしてもらう間に、他の病院を探してもらったそうです。
「ここまで危機的な状態は久しぶり。2年前を思い起こす」 受信者殺到のクリニックの対応
『KP.3』の症状です。
倦怠感、のどのイガイガや痛み、頭痛などです。
「熱中症の初期症状と似ている。食欲不振や吐き気、嘔吐が加わり、脱水になりやすい」ということです。 「KP.3」症状は?
感染者の特徴です。
いとう王子神谷内科外科クリニックでは、初めてコロナに感染した人が増えています。
これまで感染したことのない「予防をしっかりしている『達人』」が、ついに感染するケースが4割だそうです。
「従来の対策では感染を防げないほど、『KP.3』の感染力が強い」
そして、中高年の感染が増えています。
今までは若者からほかの世代へと流行していきましたが、今回は最初から40〜80代が多いといいます。
「『KP.3』は高熱が出にくく、感染に気づきにくい」ということです。 感染者の特徴
ワクチンの『定期接種』が予定されています。
65歳以上の高齢者と基礎疾患のある60〜64歳の人が対象で、費用は自己負担です。
自己負担額は、自治体によって異なりますが、最大7000円。
10月1日以降、順次開始されます。
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■費用自己負担で検査や治療薬 断る患者も 支援の可能性は?■費用自己負担で検査や治療薬 断る患者も 支援の可能性は?
新型コロナの現在の検査料金です。
いとう王子神谷内科外科クリニックでは、
PCR検査は約2600円、抗原検査は約1000円です。
「5類移行までは検査が公費負担だったが、現在は自己負担。お金がかかることを嫌がり、検査を断る人もいる。『感染したら仕事を休まなきゃいけない』という理由で、症状があっても検査を断る人もいる」ということです。 新型コロナ 検査に“異変”
治療薬も自己負担です。
3割負担で5日分処方された場合、パキロビッドは約2万9700円、
ラゲブリオは約2万8300円、
ゾコーバは約1万5500円。
薬代が高く、処方を断る患者もいるということです。
治療薬は自己負担薬の廃棄の可能性です。
おととしから560万人分の飲み薬を国が購入していますが、そのうち8割弱の約430万人分が、5月時点で使用されていません。
緊急時を除いて使われる予定がなく、使用期限を迎えれば廃棄されます。
「自己負担なしというわけにはいかないと思うが、せめて感染者数が増加する夏場だけでもいいので、3000〜5000円程度の自己負担で済むような対応を国や都にお願いして、8〜9月に間に合わせたい」 東京都医師会会長 治療薬について 支援の可能性について、小池都知事は、
「5類に移行して、3割負担という形で、陽性になった方々に負担していただいている。現時点で都としては、支援等はない。まずはしっかりと予防していただきたい」としています。 小池都知事 治療費など支援の可能性について
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■「生活が一変」後遺症で寝たきりも 感染回数多いほどリスク増■「生活が一変」後遺症で寝たきりも 感染回数多いほどリスク増
新型コロナの後遺症の症状です。
倦怠感、気分の落ち込み、思考力の低下、息苦しさ、不眠・食欲不振、頭痛・動悸・せき、などがあります。
新型コロナウイルスに感染した人にみられ、少なくとも2カ月以上持続し、他の疾患による症状として説明がつかないものとされています。
新型コロナの後遺症 どんな症状?感染した回数が多いほど、後遺症を発症しやすくなります。
カナダ統計局によると、1回感染した人の14.6%が後遺症を発症。
2回感染した人は25.4%、
3回以上感染した人は37.9%が後遺症を発症しています。 感染回数が多いほど後遺症を発症 これまで7300人以上の新型コロナ後遺症患者を診察した、
ヒラハタクリニックの平畑光一院長によると、
「2回目以降の新型コロナ感染は、『前回症状が軽かったから』『一回かかって抗体があるから』と、“慣れ”で軽く見てしまいがち。実際は、後遺症で長く苦しみ、生活が一変する危険がある」といいます。 後遺症 「生活が一変する危険」も
複数回新型コロナに感染して、後遺症を発症した10代男性患者です。
2回目の感染で後遺症を発症しました。
2022年4月に新型コロナに感染して、すぐに回復。同じ年の8月に2回目の感染をしました。
回復後、激しい倦怠感に襲われ、2年経った現在でも、トイレに行くのがやっとで、長期間学校に行けない状態が続いています。
20代女性患者です。
3回目の感染で後遺症を発症しました。
2020年、2021年、2022年8月と、3回新型コロナに感染。
後遺症としては、激しい倦怠感、発熱、頭痛、呼吸が苦しい、動悸、思考力の低下がみられました。
一時はほぼ寝たきりでした。現在は改善傾向ですが、時々会社を休むような状態が続いています。
30代女性患者です。
2回目の感染で後遺症を発症しました。
2022年7月と2023年4月に感染。
後遺症としては、激しい倦怠感、体の痛み、動悸、思考力の低下があり、ほぼ寝たきりの状態です。
現在も、1分間の皿洗いが出来ない状態で、仕事は解雇され、傷病手当で生活をしています。
まもなく受給期間が終了するため、今後の生活をどうするか悩んでいるということです。
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■突然 後遺症が悪化「クラッシュ」とは?■突然 後遺症が悪化「クラッシュ」とは?
クラッシュという、新型コロナの後遺症の症状があります。
突発的に3日以上寝込んで、ほとんど動けなくなる症状です。
トイレや食事がかろうじて出来るかどうかという、強い倦怠感に襲われます。
クラッシュの原因は、運動、ストレス、頭脳労働などです。
一定の負荷を超えるとクラッシュが発生するということです。
クラッシュのきっかけは、近所への買い物、家族とのケンカ、会議への参加など、この程度の負荷で発生することがあります。
ヒラハタクリニックの平畑院長です。「後遺症によって、運動やストレス、頭脳労働の許容量が極端に低くなっている」 「クラッシュ」のきっかけ どんなこと?
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■後遺症 約7割が労働に影響 「働く世代」は要注意■後遺症 約7割が労働に影響 「働く世代」は要注意
新型コロナの後遺症患者は、どのくらいいるのでしょうか。
新型コロナの累計感染者数は、2023年5月8日時点で約3380万人。
ヒラハタクリニックの平畑院長によると、「感染者のうち、10%が後遺症を患ったと仮定した場合、338万人の後遺症患者が存在する」ということです。 新型コロナの累計感染者数と後遺症患者
後遺症の、労働への影響です。
ヒラハタクリニックの患者で後遺症になった労働者、3956人のうち、時短や在宅になった人は304人。
欠勤しながら働いている人は331人。
休職した人は1586人。
退職、解雇、廃業となった人は488人。
約7割の人が、働き方に影響が出ています。 後遺症による労働への影響 平畑院長です。
「20代〜40代の『働く世代』が後遺症に悩まされることが多い。周囲からはサボっているように見られがちで理解を得るのが難しいため、無理して仕事に復帰してしまう。後遺症は負荷がかかると悪化することが多く、『負のスパイラル』におちいる」 「働く世代」の後遺症 無理して悪化も多い
(「羽鳥慎一モーニングショー」2024年7月22日放送分より)
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