捜査員が作成した容疑者らの似顔絵をきっかけに全国の警察が摘発した事件は、2023年に514件あったことが警察庁への取材で判明した。警察は似顔絵捜査員を配置して、被害者らから丁寧に話を聞いて似顔絵を作成している。
都道府県警別では、警視庁(東京)の114件が最多で、大阪65件▽神奈川61件▽埼玉24件▽福岡22件--と続いた。
警視庁によると、似顔絵捜査は、江戸時代に犯罪者や行方不明者を捜すために配布された「人相書き」がルーツとされる。
昭和50年代ごろまでは、複数の写真の似ている部分を組み合わせる「モンタージュ写真」が主流だった。東京・府中で現金輸送車が襲われた「3億円事件」(1968年)での偽の白バイ警察官の顔などが有名だ。
だが、作成に時間がかかることや「リアルすぎて想像力を限定させてしまう」との声があった。徐々に似顔絵の活用が広がり、平成に入ると本格的に似顔絵捜査の研究が進んだ。警視庁では、今年5月時点で似顔絵捜査員が358人いる。
警察庁によると、最近5年間で似顔絵がきっかけで事件の摘発に至った件数は、19年499件▽20年585件▽21年559件▽22年532件――で、年間500件前後で推移している。
23年に似顔絵が作成された事件は8787件。都道府県警別では、神奈川2125件▽警視庁704件▽北海道608件▽埼玉603件▽福岡495件▽大阪450件――などだった。
警視庁では80年代、鑑識課の写真係員の一人が、上野公園(東京都台東区)にいた似顔絵師の元に通うなどして技術を学び始めたという。
似顔絵といっても描くのは顔だけではなく、腕の入れ墨やキーホルダーなどの場合もある。【菅健吾】
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