猛暑の予想が続く中、この時期『熱中症』と同じ様に気を付けたいのが、『夏の脳梗塞』です。 夏の脳梗塞は、症状も熱中症に似ているということで、注意が必要です。
■『夏の脳梗塞』症状そっくり熱中症との見分け方
脳梗塞は、血栓ができて脳の血管が詰まることで脳細胞にダメージを与え、体の一部の働きが悪くなる病気です。
重い後遺症が残ったり、最悪の場合、死に至ることもあります。
●食事中に箸やおわんを落とす
●水を飲むときに口からこぼれる
●ろれつが回らなくなる
などです。
脳のどの位置で、どんな状態で発症したのかにより、損傷する機能が異なるため症状はさまざまです。 症状が1つの人もいれば、複数の人もいます。
発症時の症状 脳神経外科専門医で、川崎中央クリニックの市村真也院長によると、「連日の猛暑で、熱中症で診察に来た患者が脳梗塞という例も多い」ということです。
冬は、寒さで血管が収縮し、血管が詰まりやすくなることで脳梗塞を発症します。 夏は、脱水症状で血液がドロドロのため、血栓ができやすくなり発症します。
川崎中央クリニック 市村真也院長実際に、夏に脳梗塞になった人のケースです。
87歳の男性です。
この方は高コレステロール血症の脂質異常症があります。
7月上旬、「暑いな」と感じながら、妹と話をしていると、突然ろれつが回らなくなりました。
倦怠感やふらつきから熱中症を疑って受診し、精密検査をすると、脳幹の脳梗塞でした。
別の方のケースです。
高血圧でヘビースモーカーの、40代男性です。
同じく7月上旬、気温35℃以上で湿度も高い日に自宅で仕事をしていました。冷房は使用していました。
この日は特に何もなかったのですが、翌朝、左手が動かなくなり、精密検査をすると、脳梗塞で即入院となりました。
脳梗塞と熱中症との見分け方です。脳梗塞ならではの症状があります。
運動や感覚に関する部分では、●体の片側に力が入らない
●片側のしびれ 言語に関する部分では、
●ろれつが回らない
●言葉が理解できない 視野に関する部分では、
●視野の片側がかける
●二重に見える
どういう人が、なりやすいのでしょうか?
高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病のある人です。 睡眠不足やストレスも引き金になります。
次のページは
■“実体験”麻木久仁子さん 40代で脳梗塞…体が感じた兆候■“実体験”麻木久仁子さん 40代で脳梗塞…体が感じた兆候
夏ではありませんが、麻木久仁子さんは、40代で脳梗塞を発症しました。
どんな脳梗塞の経験をしたのか見ていきます。
発症したのは、2010年、当時48歳。報道番組やクイズ番組に引っ張りだこで、病気とは無縁の“健康自慢”でした。
兆候はある日突然でした。
仕事から帰宅し、玄関の鍵を開けようとした時、急に右手、右足がしびれて、動かそうとしても、動かなくなりました。
このときが最初の“しびれ”でした。
麻木さんです。「正座したあとのような激しい“しびれ”だったが、ほんの30秒ほどで消えた。自分の体に何かが起こっていると頭では理解したが、しばらく様子を見ることしかできなかった」 最初の“しびれ”
翌日、クイズ番組の収録中、解答を書こうとした瞬間、右手がしびれペンが持てなくなりました。
時間切れ寸前で、しびれが消え、なんとかその場を乗り切りました。
その翌日も、家事や運転中に何度か右手足にしびれが出ては、数分で消えました。
麻木さんは、「救急車を呼ぶほどではないが、これを繰り返していたら、ある日パチッと逝ってしまうのかな」と思ったそうです。 翌々日も
発症から3日目に、“右側だけ”はおかしいと、病院に行き検査をしました。
MRI検査の結果、中脳に小さな脳梗塞が見つかり、『若年性脳梗塞』と診断されました。
次のページは
■“実体験”麻木久仁子さん 脳梗塞と診断…原因と治療■“実体験”麻木久仁子さん 脳梗塞と診断…原因と治療
脳梗塞の前兆です。
麻木さんを襲った、数分で消える“しびれ”は、一過性脳虚血発作でした。
血栓ができ、一時的に血管が詰まりますが、数分から数十分で血栓が自然に消えます。
これが、脳梗塞の前兆、警告のサインと言われています。
「人間ドックでの検査も良好で、血圧も低い方で、原因が思い当たらなかったが、当時、公私ともにストレスがあり、お酒・寝不足など不健康な状態」だったということです。
1カ月半、検査通院をして、しびれを抑える薬と、血液をサラサラにする薬を服用しました。
原因はただ、その後も、6カ月しびれが続き、担当医からは、
●薬は完全に発作を抑えるわけではなく軽減するだけ
●一度なると再発しやすくなる
と言われました。
「起きたことは仕方がない。これから気を付ければいいと気持ちを切り替え、食生活の改善を始めた」ということです。
麻木さんが得た教訓です。
「いつもと違う症状や反応は、迷わず病院へ」。
麻木さんのお母さんも脳梗塞を発症しています。
麻木さんが脳梗塞を発症した8年後、お母さんは当時80歳でした。
午前10時ごろ、玄関で立ちすくんだお母さんを麻木さんが発見。
言葉が出ず、口をパクパクさせ、顔は笑っているように見えたので、「もしかして認知症になったのかしら」と思い、この程度では迷惑になると考え、すぐに救急車を呼ぶか迷いました。
そこで、「#7119」救急相談センターに連絡しました。
すると、「救急車呼びましょう。脳卒中の可能性があります」と言われ、病院へ救急搬送されました。
救急相談センターに連絡搬送先の病院は、最初の発作時刻にこだわりました。
医師に、「母親の首の後ろに傷がある。発見した午前10時より、もっと早い時間に脳梗塞の発作が起きているはず」といわれました。 お母さんに聞くと、
「明け方ベッドからトイレに行こうと起きたら転んだ。寝ぼけていると思い、また寝た」ということでした。
最初の発作から経過した時間で、薬や治療法が変わる、ということです。
麻木さんが得た教訓です。「迷いは禁物 直ちに救急車を呼ぶ」。
搬送先の病院は次のページは
■『脳梗塞』早期発見のためのチェック&予防法■『脳梗塞』早期発見のためのチェック&予防法
脳梗塞を早期発見するためのチェックです。
「早く」の「FAST(ファスト)」で覚えてください。「F」は、Face、顔です。
顔の片側しか動かない、片側まひの症状がある。
「A」は、Arm、腕です。
片側の腕に力が入らない場合は、注意です。
「S」は、Speech、言葉です。
●ろれつが回らない
●言葉が出ない
●他人の言うことが理解できない
「ぱぴぷぺぽ」ときちんと言えるかでチェックできます。
「T」は、Time、時間です。
F/A/Sのどれかの症状がでたら、その時刻を確認してすぐに救急車を呼んでください。 脳梗塞チェック 早期発見のための「FAST」
このうち腕のチェック法には、こうしたものがあります。
目を閉じ、手のひらを上にして、両手に前に10秒カウント。片方が下がれば危険サインです。
夏の脳梗塞の、予防法です。
【水分補給】脱水を防ぐため、のどが渇く前にこまめに飲んで下さい。
【飲酒】
アルコールには利尿作用があり、脱水を招きやすいので飲みすぎに注意。 特に夏場の運動後のビールは要注意です。
【室温管理】
涼しいと感じる温度にする。 特に湿度を下げることが重要です。
【塩分の取りすぎ】
熱中症予防のために塩分を取りすぎてしまう人もいると思います。高血圧の人は特に注意です。 夏の脳梗塞予防法
そして、いち早く救助につなげるための準備として、「救急安心カード」です。
普段使っている薬や緊急連絡先などの情報を書き込み、携帯できるカードです。 財布に入れておくのがおすすめということです。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年7月18日放送分より)
この記事の写真を見る(22枚)鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。