漬物のもとや米こうじ関連製品の販売を手がけるコーセーフーズ(岐阜県大野町)が、親子でぬか漬けを楽しめる「手作りぬかどこキット」(2780円、税込み)を発売した。準備不要で初心者でもすぐ始めることができ、夏休みの自由研究にもぴったり。さらに、余った野菜を活用できるため、食育やSDGs(持続可能な開発目標)について考える契機に、と同社は期待する。
精米時に出る米の外皮「ぬか」に水や塩などを混ぜ合わせて「ぬか床」を作り、その中に野菜などを入れた発酵食品が「ぬか漬け」だ。ぬか床で乳酸菌や酵母などが増殖を繰り返すことでうまみ成分が生まれ、漬物がおいしくなるとされる。
キットには、必要な材料、容器がそろっており準備は不要。塩などがあらかじめブレンドされた「入学ぬか」、発酵を助ける「先ぱいぬかどこ」など学校風の名前が付いた材料が入っている。これらをチャック付きのプラスチック容器内で水と混ぜれば、ぬか床が完成する。あとは野菜などを漬けて冷蔵庫に入れるだけ。チューブ入りの調味料を足してうまみの調整もできる。
付属のガイドブックではぬか床・ぬか漬けの上手な作り方のほか、ぬか漬けを活用した料理レシピなどを紹介している。イラストをあしらい、子どもでも手軽に挑戦できるよう心がけた。利用者からは「子どもが野菜をたくさん食べるようになった」「親子のコミュニケーションが増えた」などの声が寄せられているという。
ぬか漬けは、ぬかや冷蔵庫で余った野菜が有効活用でき、食品ロスの削減につながるメリットもある。キットの開発に携わった見屋井大輔・研究開発課長は「親子で一緒に発酵食品作りを楽しみながら、食育を学んでほしい」と話す。夏休みの自由研究での利用などを想定し、発酵食品の良さを若い世代にアピールすることで、顧客層の拡大にもつなげたい考えだ。
里村俊介社長は「漬物のもとなどはニッチ(すき間)なカテゴリーの商品だが、弊社ほど真剣に取り組んでいる企業は他にないと思っている。もっとお客様に知ってもらえるよう、存在感を出したい」と語る。ぬか漬けになじみのない初心者からヘビーユーザーまでアピールする「全方位戦略」(里村社長)を念頭に、商品ラインアップの充実に力を入れる。米こうじなどは健康・美容効果が近年注目されており、里村社長は「さらに商品の可能性を掘り下げ、時代に合わせて進化させたい」と意気込んでいる。【安達一正】
コーセーフーズ
商品の製造は厚生産業(岐阜県大野町)が手がけ、同社の販売部門が独立する形で1988年にコーセーフーズが設立された。ぬか床や漬物のもとのほか甘酒などを扱い、スーパーやドラッグストアのほか、ネット通販でも販売する。両社の年間売り上げは計約28億円で、漬物のもと・米こうじ関連分野でナンバーワン企業を目指す。
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