全国有数の稲作地帯・秋田県大潟村に、もみ殻を燃料とする国内初のバイオマス地域熱供給システム・プラントが完成した。先進地・デンマークの技術を取り入れており、17日の完成式には駐日デンマーク大使も出席。すでに試験運転を始めており、熱需要が高まる秋以降に本格稼働させる予定だ。
村のカントリーエレベーターの敷地に建設されたプラントで、もみ殻を燃料としてボイラー(出力350キロワット)2基で湯を沸かす。
敷設された計7キロの熱導管で湯を循環させ、学校やホテル、温泉施設、老人ホームなどの暖房や給湯に利用する。燃焼後のもみ殻も燻炭(くんたん)として育苗や土壌改良に活用する。
村内では5万8000トンのコメを生産しており、その副産物として年間1万4000トンのもみ殻が出る。このうち7000トンが未利用のため、当面は年間2000トンの燃料利用を想定。将来的にはボイラーを増設し、家庭にも熱供給を広げたい考えだ。
もみ殻を燃料とした地域熱供給は、村が目指す2050年の「自然エネルギー100%」の柱の一つだ。村内では大手農機メーカー「クボタ」も稲わらからバイオガスなどのバイオ燃料やバイオ液肥を製造するための実証実験を実施。稲作の副産物であるもみ殻と稲わらを最大限に活用する事業が同時に進められている。
高橋浩人村長は「稲作から食糧とエネルギーをつくり、地域資源と地域経済の好循環を構築することは、GX(グリーン・トランスフォーメーション)のモデルになる。村の事業が、国内の稲作地帯に広がっていくことになれば、うれしい」と話した。【高橋宗男】
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