神奈川県内で2021年以降、米軍関係者による性犯罪の検挙事案が2件あり、いずれも公表されていなかったことが18日、県警への取材で判明した。県警は非公表の理由について「米軍にかかわらず、被害者のプライバシーなどを考慮した上で広報の可否を個別に判断している」と説明している。
県警国際捜査課によると、22年に米軍人を強制性交等致傷容疑で書類送検し、今年に米軍属を不同意わいせつ容疑で逮捕した。いずれも起訴猶予か不起訴処分になったという。同課が記録として保存している21年~今年6月末の資料で確認した。被害者の年齢など詳細は「非公表のため答えられない」としている。
県警によると、1993~2020年の統計資料で、米軍関係者による性犯罪の逮捕や書類送検は計31件あった。いずれも公表したかは不明としている。
日米両政府は97年の日米合同委員会で、米軍が公共の安全に影響を及ぼす可能性がある事件事故を起こした場合、日本の外務、防衛当局を通じて関係自治体に通報する仕組みを決めている。県基地対策課によると、政府から今回の非公表が判明した2件について情報提供はなかった。
このため県は18日、外務、防衛両省に対し、情報を把握していたかなどを尋ねるメールを送付した。県の担当者は「政府が情報があるのに自治体に提供をしなかったとすれば、理由によっては改善を求めることになる」と話した。
日米合同委員会では日本の捜査当局が米軍人や軍属を逮捕、起訴した際には米軍側に通知、通告することも決めている。また、県警は米軍関係者らの逮捕や書類送検の際、米軍に事件概要を通告している。【横見知佳、蓬田正志】
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