夏休みを前に、新型コロナの感染者数は全国的に右肩上がりで、“第11波”に入ったともいわれています。

日本だけではありません。

来週末に開幕を控えたパリ・オリンピック。地元メディアによりますと、フランス代表・柔道男子の合宿で、感染者が確認されたため、急きょ、中止に。ツール・ド・フランスでは、オリンピックにも出場予定のイギリス代表選手が感染のため、棄権しました。

東京都内で台湾から来た人に聞きました。

台湾から来た人
「日本はマスクの人が少ない。台湾では公共交通機関やお店などで、再び、マスクをつけるよう指示されている」

WHO=世界保健機関も、改めて、混雑した場所などでは、マスクを着用するよう注意喚起しています。

日本では、去年5月、新型コロナウイルスの位置づけが『5類』になり、今年4月からは、ワクチンや治療費が、原則、自己負担になりました。

最新の報告をみると、1つの医療機関あたりの感染者が、沖縄で約30人、次いで九州で多く、東京では、1カ月前の約2倍。すべての都道府県で、前の週より増えています。

埼玉県にある救急病院の発熱外来には、祝日の15日、93人の患者が来ました。そのうち、58人が新型コロナ陽性だったといいます。

ふじみの救急病院・鹿野晃名誉院長
「この1〜2週間で、ぐぐぐと増えてきています」

お年寄りから幼児まで、患者の年齢は幅広いといいます。

コロナによる学級閉鎖は、少なくとも、今月1日、49クラス、16日は95クラスと、全国で続いています。

ふじみの救急病院・鹿野晃名誉院長
「比較的若い方で、ワクチンを打っているのにデルタ株のようなコロナ特有な肺炎で重症化している人が続いた」

入院ベッド20床のうち、現在、新型コロナで入院している人が4人。3人は酸素投与などが必要な『中等症』で、1人は『重症』です。

高齢者などは、肺炎の症状だけでなく、体力が弱まって食事がとれなくなり、入院になるケースも多いそうです。

『軽症』の人は自宅療養になりますが、深刻となっているのが“薬不足”です。

ふじみの救急病院・鹿野晃名誉院長
「せき止めが在庫なし、出荷調整中。ほとんど壊滅的な状態ですね。漢方を代替しているときもあったが、それも出荷調整中になっている。つらい症状をすべて薬で和らげてあげることは難しい状況」

現場の医師は「医療現場のひっ迫は徐々に始まっている」と危機感を募らせます。

東京都医師会は、16日の会見で「1カ月後には、感染者は3〜4倍になる」という見方を示しました。

東京都医師会・尾崎治夫会長
「『KP.3』という今まで作ってきた免疫を回避する力が強い株。かなり感染力が強い株です。高齢者は、暑さと相まって、急に衰弱して持病が悪くなる、持っている基礎疾患が悪化するケースが、私は非常に増えるのではないかと」


◆現在の感染状況について、国際医療福祉大学の松本哲哉代表教授に聞きました。

松本教授は「“第11波”に差し掛かっているとみている。これから1カ月ほどは、感染者数は増えていく可能性がある。暑くなったことで、よりマスクを外す機会が多く、対策が緩やかになって、警戒感が薄れている。検査を受けない人も増えている」と、今後の感染拡大を警戒しています。

いま、増えているのが『KP.3』系統という新しい変異株。東京都によりますと、4月には、全体の約18%でしたが、徐々に増えていき、6月の最新の数字は、約81%にもなりました。

この『KP.3』について、松本教授は「これまでより感染力が強い。主な症状は、これまでと同じで、発熱、せき、のどの痛みなど」
と話します。

今後、注意することについて、松本教授は「過度に恐れる必要はないが、多くの人が密集し、マスクを取っているような状態の場合、重症化リスクのある人、持病のある人については、危険なシチュエーションは避けてほしい。今後、感染する可能性はより高まるので、疑わしい場合は検査をしてほしい」といいます。

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