記録的な大雨が続く7月。今が旬の海の幸に大きな異変が起きています。

 「海の日」の15日、多くの観光客が食べていたのは…。

東京からの観光客
「牡蛎(かき)のために来た。岩牡蛎のために。夏場の岩牡蛎」

 夏の味覚である天然の岩牡蛎です。大きな粒はプリプリ。

 クリーミーで濃厚な味わいから「海のミルク」とも呼ばれています。

 新潟県村上市の鮮魚店では、地元の海で取れた新鮮な岩牡蛎をその場で味わえます。

観光客
「濃いね、味。想像以上においしかった」

 ところが、この夏はなかなか入荷できない異常事態に…。

越後村上うおや 塩引館 本間妙子さん
「天気に左右されて。つい最近も雨が降ってやっと2、3日前に(岩牡蛎を)入荷したばかり。来た人が食べられなくてがっかりして帰った人もいた」

 大雨が影響。海の中で何が起きているのでしょうか。

 15日に岩牡蛎漁の現場を取材すると、海で起きている異変が見えてきました。

 漁師が素潜りで海の中へ。岩場で天然の牡蛎を探ります。岩に張り付いた牡蛎をハンマーではがします。こちらの港では6月から8月までの3カ月間、岩牡蛎漁が解禁され、通常は7月に最盛期を迎えます。

 ところが、今月の漁は15日まででわずか4回。ずっと漁ができない日が続いていた訳は…。

岩牡蛎漁師
「1週間から2週間前はずっと雨。これからまた雨で天気が崩れそう。大雨警報が出ると岩牡蛎取ったら駄目などのルール」

 漁ができない原因は7月の大雨による影響です。新潟県村上市では、7月上旬の雨量が平年の2.2倍に及んでいます。

岩牡蛎漁師
「川から水が出ると、どうしても(海が)濁ったり流木がいっぱい流れたり船の故障につながり漁ができない」

 泥水などが川から海に流れ込むことで海中が濁ってしまい、岩牡蛎漁ができなくなるといいます。

元水産庁職員 東京海洋大学 上田勝彦客員教授
「梅雨の長雨というが“しとしと”という長雨ではなく、ずっと降らない時が続いたかと思うと、たまったものを一気に吐き出すかのようにドシャッと降る」

 ただ、大雨が降ることで、牡蛎の餌(えさ)となるプランクトンが大量に発生するといいます。しかし、その結果…。

元水産庁職員 東京海洋大学 上田勝彦客員教授
「順調な栄養の供給ではなく(栄養供給が)ない時はな無い、ある時はある。急激に大量に流れる極端なサイクルになっているのが、ここ数年の現象。栄養がある時に栄養がありすぎて、しかも水も濁り雑物も入る。極端な場合は(岩牡蛎が)死に至る。もろもろの要因が重なって、魚と同様このようなことになっている」

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