愛知県日進市が官公庁オークションに一時出品していた同市保有の名古屋市電(路面電車)の車両にアスベスト(石綿)が含まれている恐れがある問題で、名古屋市が保有する同型車両2両に石綿が含まれていたことが同市への取材で判明した。両市が保有する市電は1936~38年に製造された同型車両で、日進市の市電にも石綿が含まれている可能性が高いとみられる。
日進市は市立東小学校(同市米野木町)に1両、名古屋市は市科学館(同市中区)とレトロでんしゃ館(日進市浅田町)に各1両ずつ展示している。いずれも1400型ボギー車で、東小とでんしゃ館は38年製、科学館は36年製。
日進市は今月4日、東小に置かれていた市電をオークションに出品したが、外部から石綿含有の可能性を指摘され、5日後に出品を取り下げていた。
名古屋市交通局によると、2006年以降にでんしゃ館と科学館の車両を調査したところ、ブレーキ部品など複数箇所に石綿が使用されていることが判明。市は飛散防止のため樹脂で固める措置を施したという。
担当者は「当時、直ちに問題があるわけではなかったが、老朽化で危険は高まる。子どもも含め一般の方が出入りする施設なので飛散防止措置をした」と説明している。
でんしゃ館では他にも型の違う市電3両と地下鉄2両を展示しているが、全ての車両で石綿が確認されており、同様の飛散防止措置を施しているという。
日進市保有の車両は現在、老朽化のため車内に入ることは禁止されている。車両に石綿含有の恐れが指摘されていることについて、市教委の担当者は「費用もかかるので、調査するかどうかも含めてこれから検討したい」としている。
厚生労働省によると、古い鉄道車両には石綿が使われていることがある。労働安全衛生法により06年以降、一定以上の石綿を含む車両は譲渡や提供が禁じられている。【川瀬慎一朗】
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