米軍関係者による性犯罪の逮捕・摘発に関して、少なくとも2021年以降、沖縄以外の、主要な米軍施設がある県警も報道機関に広報していないことが分かった。県内では6月以降、米兵による性的暴行事件が相次いで明らかになったが、県警や地検がいずれの事件も公表していないことが問題になった。全国でも報道発表を控えている可能性がある。(社会部・豊島鉄博、玉那覇長輝、知念祥吾)

 沖縄タイムスは7月上旬、三沢基地のある青森県、横須賀基地のある神奈川県、岩国基地のある山口県、佐世保基地のある長崎県の各警察と横田基地のある東京都を管轄する警視庁に最近の報道発表について聞いた。

 21年以降、米軍関係者による性犯罪の逮捕・摘発は神奈川2件、青森2件、山口1件で、計5件だった。いずれの事件も報道機関に広報されていなかった。

 神奈川県警は今年、不同意わいせつ容疑で米軍属を逮捕したが、公表していなかった。米軍人による強制性交致傷容疑(22年)の書類送検も同様だった。

 青森の2件は強制性交等容疑(21年)と強制わいせつ容疑(22年)でいずれも書類送検していた。山口の1件は強制わいせつ容疑で、22年に書類送検した。いずれも公表していない。

 長崎では18年以降、摘発自体がなかった。16~17年には計2件の性犯罪(強制わいせつと準強制わいせつ)容疑で書類送検したが、公表していなかった。

 広報しなかった理由を各県警は「被害者のプライバシーへの配慮」と説明した。警視庁は公表の有無自体明らかにしなかった。

 県内では、6月に報道で明らかになった2件を含め、公表されていない性的暴行事件が昨年から今年5月末までに計5件あったことが分かっている。県警はプライバシー保護や被害者の二次被害防止などを非公表の理由に挙げている。

 性犯罪に詳しい四天王寺大学講師の牧野雅子さんは「性犯罪だから広報しないと一律に判断せず、発生時期や発生場所などを特定されないようにするなど対応した上で、事件があった事実は公表できるはずだ。米軍の犯罪を公表することは公益性の上でも重要だ」と指摘した。

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