博多祇園山笠の「集団山笠(やま)見せ」が13日、福岡市中心部であった。15日間の祭り期間中、舁(か)き山笠が商人の街・博多地区から旧城下町の福岡地区に入る唯一の行事。雨の中、「オイサッ、オイサッ」の掛け声とともに勇壮に駆け抜ける山笠に、沿道の市民や観光客から大きな歓声が上がった。
2024年の一番山笠・大黒流(ながれ)が午後3時半、博多区の呉服町交差点を出発。5分間隔で六つの流が続き、約2・1キロのコースを疾走した。
折り返し地点となる中央区天神の市役所前では、各流が伝統の「博多手一本」を打った。山笠に上がって舁き手を鼓舞する「台上がり」を高島宗一郎市長ら地元政財界の関係者らが務める場面もあり、祭りを盛り上げた。
クライマックスとなる「追い山笠(やま)」は、15日午前4時59分、土居通りにある出発点の「山留め」からスタートする。【栗栖由喜】
勉強会やカメラ設置で事故対策
2023年の博多祇園山笠では、クライマックスとなる「追い山笠(やま)」の最中に山笠を担ぐ舁(か)き手の男性(当時57歳)が死亡する事故が起きた。博多祇園山笠振興会は七つの安全対策をまとめて再発防止を徹底。男性が所属していた千代流(ちよながれ)は万が一の事故が起きた際に検証できるよう、山笠に360度カメラを設置した。
福岡県警などによると、事故は櫛田神社(福岡市博多区)から約300メートル先の交差点付近で発生。舁き手だった男性が転倒し、約1トンある山笠にひかれたとみられる。
事故を受け、同振興会は23年11月、七つの安全対策を策定。追い山笠では舁き山笠がコースを駆け抜けた時間が計られるが、奉納神事でありタイムレースではないと念頭に置くことや、体調不良時は参加を控えることなどを徹底するよう、参加者に求めた。
亡くなった男性が所属していた千代流は、市消防局の指導を受けて自動体外式除細動器(AED)の使い方を学ぶ講習会や、舁き山笠の際に命綱となる「舁き縄」の掛け方を学ぶ勉強会を開催。舁き山笠の周囲を並走して事故防止に努める複数の安全担当が危険を察知した場合、笛を鳴らして停止させることも取り決めた。検証用の360度カメラは、舁き山笠の前後に計2台設置した。
総務の秀島将文さん(76)は「事故が起きたことは残念でならない。二度と起こさぬよう一丸となって安全に奉納したい」と話す。
15日の追い山笠は3連休の最終日で、例年以上の混雑が予想される。県警は300人以上を配置して警備に当たり、今回初めて櫛田神社前の博多通りに流入する人数を制限。見物客が多い国道202号(通称・国体道路)の萬行寺~祇園町交差点間の両側の歩道は一方通行にし、沿道に座り込んでの見物は控えるよう呼び掛けている。【栗栖由喜】
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