贋作の疑いが判明した「少女と白鳥」(高知県立美術館提供)

 高知県立美術館(高知市)は12日、所蔵している油彩画、ハインリヒ・カンペンドンク作「少女と白鳥」(縦69センチ、横99・3センチ)に贋作(がんさく)の疑いがあると発表した。徳島県立近代美術館からの指摘で分かった。専門家に鑑定を依頼するなどして真贋を調査し、秋ごろに結果をまとめる予定だ。

 カンペンドンク(1889~1957年)はドイツ表現主義を代表する作家。「少女と白鳥」は作品総目録に名前はあるが、画像は掲載されていなかった。高知県立美術館は1996年、ドイツの画商から富豪のコレクターに譲られたという来歴を確認し、名古屋市の画商から1800万円で購入した。同美術館で15回、館外貸し出しで3回展示された。

 徳島県立近代美術館が、所蔵作品の一つに「天才贋作師」として有名なヴォルフガング・ベルトラッキ氏による偽物の疑いがあるとの情報を確認し、開催予定だった所蔵作品展での展示を取りやめると12日に発表した。調査の過程で、2020年に高知県立美術館から貸し出しを受けた「少女と白鳥」もベルトラッキ氏の“作品”リストに上がっていることを把握し、24年6月中旬に同美術館に連絡したという。

 高知県立美術館は、作品の由来を改めて画商に問い合わせている他、絵画に使われている絵の具の科学調査も専門家に委託して調査を進める方針だ。奥野克仁学芸課長は「現段階では贋作の疑いが強いと考えている」としている。【小林理】

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