電話に対応する相談員=三重いのちの電話協会提供

 悩み相談を受け、自殺防止に取り組む「三重いのちの電話」が相談員不足から、利用者にとっては「つながりにくい」事態になっているという。事務局は改善のために新たな相談員を募集する予定で、「つながる電話にしたい」と協力を呼びかけている。【原諒馬】

 「相談できるところがない。苦しくて仕方がない」。X(ツイッター)には全国で50カ所ある「いのちの電話」にかけたがつながらず、相談する場所に乏しい現状を嘆く投稿が並ぶ。慢性的な相談員不足が一因とみられる。

 2001年に開設された「三重」も例外ではない。現在は40~70代のボランティア49人が午後6~11時の5時間、5~6人で交代しながら2台の電話で対応している。

 23年には三重で6520件の相談があり、うち572件は自殺につながる可能性があるとされた。相談の時間は1件につき平均約30分で、1日に対応できるのは約20件だという。

 相談員によると、電話は次々とかかってくるため待つ暇も無いという。少ない人員で懸命に対応しているものの、利用者からは「長時間待たされた」「つながらないことが多い」と不満が寄せられている。認定特定非営利活動法人「三重いのちの電話協会」の古庄憲之事務局長は「気持ちを吐き出し、SOSを出したい全ての方にお応えできず申し訳ない」と心を痛める。

 事務局は利用者に寄り添うため、15日から相談員30人を募集することを決めた。相談員になるには6カ月間の第1課程を修了し、9カ月間の第2課程を終えて審査される。受講料は計5万円かかる。

 ただ、認定されてもボランティアのため無償で、交通費などは自己負担となる。「やりがい搾取だ」と批判もあり、希望者は減少傾向で、24時間対応に必要とされる目標の150人からはほど遠い。「いのちの電話」の倫理規定には「基本的にはボランティアで行うこと」とあり、古庄事務局長は「確かに負担になってしまうが、経済的補償を求めないボランティア精神で長年行ってきた。受講料は講師への報酬に充てている」と説明する。

 応募は9月15日まで受け付ける。負担が大きくても、現在の相談員は「誰かの役に立ちたい」と、北はいなべ市、南は伊勢市から津市の事務局へ通っているという。古庄事務局長は「共に県民に寄り添って、悩みを聞いてほしい」と呼びかけている。問い合わせは事務局(059・213・3975)まで。

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