「アイム ノット ギルティー(私は無実です)」。被告の男(25)のはっきりとした声が法廷内に響くと、傍聴していた人たちは一様に驚いた表情を見せた。被告は、罪状認否を待ち構えていたかのようにマイクを口元に寄せ、堂々とした態度で無罪を主張。悪質な性犯罪を否認しながら、被告が保釈されていることについて、米軍犯罪に詳しい弁護士は「米兵優遇と言わざるを得ない」と疑問を呈した。
午後1時40分ごろ、傍聴席を見渡し、証言台前のいすにゆっくりと深く腰掛けた被告。長袖の白いワイシャツに黒いズボン姿で、検察官が起訴状を読み上げる間、前方を見つめてじっと聞き入った。
罪状認否では、「誘拐もレイプもしていない」と、英語で無罪を主張。そんな被告に対し、唇をかみながら、鋭いまなざしで見つめる傍聴人の姿もあった。
■「軍の特別捜査官」とうそ
検察側は冒頭陳述で、被告が公園にいた少女に日本語で声をかけた後、翻訳アプリを使ってやりとりしたと指摘。検察などによると、「自分は軍の特別捜査官」とうそをついて信用させ、家や年齢を尋ねるなどしたという。
誘拐現場とされた公園で2人がやりとりする防犯カメラの映像や、少女のスマートフォンに残っていた被告の写真などが証拠として提出された。
■防犯カメラ映像に下唇かむ
証拠調べで、公園周辺の防犯カメラの映像を被告に提示すると、被告人席に座った被告は、モニターをじっとのぞき込み、時折下唇をかんだ。
入廷から約50分、次回期日が裁判長から宣告されると、被告は傍聴席を見ることなく、大股で法廷を後にした。
(社会部・豊島鉄博)
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