大阪府警本部=藤田剛撮影

 飲食店で使う備品などの代金計約8700万円を複数のリース会社からだまし取ったとして、大阪府警は9日、飲食店運営会社の取締役ら男性2人を詐欺の疑いで逮捕した。捜査関係者への取材で判明した。「多重リース」と呼ばれる手口だったとみられ、府警は実態解明を進める。

 2人は飲食店運営会社取締役の石原義明(41)=大阪市北区=と、別の飲食店運営会社社長の藤本英明(60)=東大阪市=の両容疑者。

 捜査関係者によると、リースは利用者が物品を借りて使える仕組み。物品を購入・所有するリース会社への使用料(リース料)が発生する。一つの物品に関し、リース契約は1社と結ぶのが通常とされる。

 2人は共謀して2020年9~12月、飲食店で使う食器洗浄機や冷蔵庫などの備品について、複数のリース会社に売却。石原容疑者の会社が一つの備品で複数のリース契約を結んでいることを各社に伝えず、売却代金の計約8700万円を詐取した疑いが持たれている。

 民間信用調査会社などによると、この事件の手口は「多重リース」と呼ばれ、会社の資金調達手段として悪用されるケースがある。石原容疑者の会社は20年ごろ、全国で居酒屋20店舗を展開。ただ、事件当時は経営不振に陥っていたとみられ、府警は詐取したとされる金銭の使い道を詳しく調べている。【岩本一希、川地隆史】

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