小池氏の圧勝に終わった東京都知事選ですが、無党派層からの支持を集め2位に躍進したのが石丸伸二氏。岸田総理の地盤・広島1区から出馬の可能性はあるのでしょうか。

■小池氏“圧勝”から一夜 「全身全力で」

 投票締め切りの午後8時ジャストに「当選」が報じられ、七夕の首都決戦を制した小池知事。昼すぎに登庁すると、職員から花束を受け取りました。

東京都 小池知事
「これからも全力で。全身全力で努めて参ります。ありがとうございました」

 17日間の選挙戦、公務ファーストでわずか9日しか街頭演説に立たなかった小池知事。「公務」と「選挙」の二刀流作戦ですが、その裏でしっかり組織票固めもしていました。

 選挙戦13日目の今月2日、小池知事が訪れたのは都庁の目の前にあるホテル。そこで行われたのはメディアを完全にシャットアウトした非公開の会合でした。集まったのは自民党を支援する、およそ300の各種業界団体の人たちです。

東京都 小池知事
「先行しているとか、リードしているとか、あれは陰謀です。どうぞ皆さん、ここで締めないと、私小池百合子、3期目ができません。これからパリで日本の選手、金メダルを目指します。この都知事選挙は金メダルしかありません。どうぞ皆さま、皆さんのスマホ、いっぱいお友達業界の仲間入ってますよね。『あいうえお』順で費用は皆さんに持っていただいて。『あいうえお』順に上からドンドン掛けていただきたいんです。あと5日です。5日しかありません。どうぞ皆さん、きょうは『あ』行から『さ』行、次は『な』行から次というふうにお友達に電話して下さい。小池、金メダル。一票入れてねということをお願いしていただきたい」

 この自民党を支援する各種団体の総決起大会に自民党議員の姿はなく、のぼりやビラにも自民党の文字はなし。自民党は表立って姿を見せない「ステルス支援」に徹していました。

■蓮舫氏抑え2位 石丸氏“人気の理由”

 今回の都知事選で躍進し、旋風を巻き起こしたのが、広島県安芸高田市の前市長・石丸伸二氏です。

前安芸高田市長 石丸伸二氏(41)
「楽しい選挙、楽しい政治、それをここで作り上げるんです。全国民の期待に、そして次世代の期待に応えるカッコいい大人の姿を見せ付けましょう」

 1日10カ所程度。多い日には18カ所で精力的に街頭演説を行った石丸氏。それでも足りないと…。

前安芸高田市長 石丸伸二氏
「ぜひYouTubeでご確認下さい。続きはウェブで」

 リアルな世界とネットの世界の両面作戦を展開。

石丸陣営
「撮った写真、動画等をぜひ拡散していただきたいと」

 若い世代や無党派層を中心に既存政党への不信を浮き彫りにしました。

前安芸高田市長 石丸伸二氏
「何よりも一丁目一番地。政治再建。見える化、わかる化です」

■蓮舫氏 まさかの3位に立憲衝撃

ジャーナリスト 白鴎大学名誉教授 後藤謙次さん
「既成の政治家、既成の政党に嫌気がさした都民が石丸さんに票をもたらした。戦術的にも、蓮舫さんたちは選挙運動自体が非常に古い形ですよね。街頭(演説)をやる。そこに野田佳彦元代表が現れる。(共産党の)志位議長が来る。大物を呼んで演説会のような街頭演説。この炎天下では有権者も嫌気をさしてしまう。しかし石丸氏は、15分ぐらいの短い街頭(演説)を繰り返して、非常に数多くの場所で街頭(演説)をやり、それをSNSでとりわけYouTubeで発信していく手法で戦術面でもかなり成功して。蓮舫さんたちは旧来型の選挙運動に固執しちゃったために逆に有権者離れを起こしてしまったと」

前参議院議員 蓮舫氏(56)
「(Q.街頭演説は石丸さんが圧倒的に多かった戦術で間違いはなかったか?)なかったと思います。やれるだけのことをやりました」

立憲民主党 中堅議員
「敗因は無党派層をとれなかったことが大きい。SNS戦略のアップデートができなかった」

■“大躍進”石丸氏 国政に進出は?

 “石丸フィーバー”はこれからも続くのか…。

前安芸高田市長 石丸伸二氏
「(Q.国政にもという思いはある?)選択肢としては当然、考えます。例えば広島1区。岸田総理の選挙区です」

 後藤謙次さんは、まだ永田町はその発言を重く受け止めていないとみていますが。

後藤謙次さん
「石丸氏を通じて新たな党が立ち上がるとか、既存の政党が党首・代表として抱え込んで選挙をやるとなると、そこは大きな渦を起こすかもしれませんね」

■国政“前哨戦”で自民「2勝6敗」

 都知事選では小池知事を支援しながらも徹底して表に出てこなかった自民党ですが、一方、同時に行われていた選挙。東京都議の補欠選挙では9つの選挙区のうち8つで候補を擁立していました。

 そして結果は、2勝6敗。勝敗ラインとしていた4勝以上を下回りました。

 なかでもここ…。

自民党 東京都連 萩生田光一会長
「逆風の中での選挙となってしまいました。逆風の原因を作った1人として改めて、市民の皆さんにご心配おかけしたこと、おわびを申し上げたいと思います」

 旧統一教会との関係も指摘され、裏金事件でも処分を受けた萩生田光一東京都連会長の地元・八王子市です。

河野太郎デジタル大臣
「この八王子市と東京都をつなぐ架け橋が必要です」

 有力国会議員も応援に駆け付けましたが、自民党の敗北です。

自民党 石破茂元幹事長
「都議選の勝敗が、これから先いつか行われる。衆議院(選挙)の先行指標になる」

■“首都惨敗”どうなる?岸田総理

 首都での惨敗。総理の今後は…。

後藤謙次さん
「(当選)9人のうち自民党は2人、立憲民主党は1人。つまり既成政党って言われるところは、3人しか当選していない。有権者が日本最大のマンモス選挙区で、こういう傾向が出てくると、それこそ、衆議院選の小選挙区で自民党の候補がどこまで踏みとどまれるか。国政に与える影響は大きいと思います」

 当然、自民党の顔にも影響します。

岸田総理大臣
「結果については真摯に受け止め、今後に生かしていかなければならないと考えている」

 総裁選はおよそ2カ月後に迫っています。

 自民党内を取材すると…。

自民・若手議員
「正直(総裁は)岸田政権から変わったと思ってもらえる人であれば誰でもいい」

自民・中堅議員
「(総裁に)岸田さん再選は勘弁してほしいね。でも再選はないでしょう」

後藤謙次さん
「麻生氏、茂木氏に(総裁候補の)有力なカードがありますかっていうと、ないんですね。菅義偉前総理大臣とか、こういう人たちが本当にスペードのエースを持っていますかっていうと、これまたないわけですね。五里霧中の中で総裁選に突入すると明確な見通しを語れる人は1人もいないんじゃないですか」

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