平田直氏

17日午後11時14分ごろ発生し、愛媛県と高知県で最大震度6弱を観測した地震について、政府の地震調査委員長を務める平田直東京大名誉教授(観測地震学)は「懸念されている南海トラフ大地震が起きる可能性が、直ちに高まったとは言えない」との見解を示した。

静岡県沖の駿河湾から宮崎県沖の日向灘の沖合にかけて延びる南海トラフでは、フィリピン海プレート(岩盤)が陸のプレートの下に沈み込んでおり、マグニチュード(M)8~9級のプレート境界型の大地震が想定されている。

今回の地震は、震源の深さや断層の動き方から、プレート境界ではなく、沈み込むフィリピン海プレートの内部で発生したとみられる。

平田名誉教授によると、今回の地震のM6・6は、プレートの固着状態にすぐに大きな変化を生じさせるほどの規模とは考えにくく、このため直ちに想定される南海トラフ大地震の発生可能性が高まったとは言えないという。

その上で、一般論として大きな地震の後には、その地震の直接の影響を受けた活動が続くため、しばらくの間は後発の地震に注意が必要としている。

また、仮に今後、周辺で今回よりもさらに大きな規模の地震が起きたり、スロースリップ(プレート境界の断層がゆっくり動く現象)に、今までとは異なる変化が観測されたりした場合には、懸念される大地震への警戒が必要となる可能性もある。このため、気象庁から発表される情報に注意してほしいとしている。

また、平田名誉教授は「南海トラフの大規模地震は前触れなく起きる可能性もあるため、日頃から注意してほしい」と話している。南海トラフでは、過去におよそ90~150年間隔で繰り返し大地震が発生してきた。前回の南海トラフ地震が発生してから約80年が経過し、次の大地震の発生が懸念されている。

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