防衛省の正門=東京都新宿区市谷本村町で2019年3月、本橋和夫撮影

 防衛省は近く、陸海空3自衛隊の幹部や、「背広組」と呼ばれる防衛官僚の大規模な懲戒処分に踏み切る。数十人規模となる見通しだ。国の安全保障に関わる機密情報の「特定秘密」について違法な取り扱いが幅広く確認されたほか、内部部局幹部によるセクハラやパワハラが複数確認された。防衛省は特定秘密問題の概要について、週内にも衆参の情報監視審査会に報告する見通しだ。

 複数の政府関係者が7日、明らかにした。

 これらとは別に、海上自衛隊の潜水艦修理契約に絡んで、川崎重工業が年間1億円超の裏金を捻出していたことも3日、判明した。ずさんな情報管理や組織運営に対する批判が高まるのは必至だ。

 特定秘密を巡っては海上自衛隊と陸上自衛隊で違法な取り扱いが発覚し、防衛省は4月、5人を停職などの懲戒処分にした。政府関係者によると、これを受けて航空自衛隊や3自衛隊の運用を担う統合幕僚監部、「背広組」と言われる内部部局にも範囲を広げ、特定秘密の運用状況を調べた。

 その結果、特定秘密を扱う資格を持たない自衛官や防衛省職員が特定秘密を取り扱うなど、違法な実態が相次いで確認されたという。特に複数の艦艇で違法な取り扱いが確認された海自では、トップの酒井良・海上幕僚長が引責辞任する方向だ。

 また、防衛省は陸自演習場での女性自衛官に対する性暴力事件を受けて、2022年9月からハラスメントに関する特別防衛監察を実施していた。防衛省関係者によると、その過程で被害申告が相次いで寄せられ、内部部局の管理職による部下に対するパワハラやセクハラなどが複数確認されたという。【中村紬葵、松浦吉剛】

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