沖縄県で2023年12月と今年5月に起きた米兵による性的暴行事件に抗議する緊急集会が4日、那覇市の県庁前であった。主催者発表で約600人が集まり、米軍関係者による性犯罪が後を絶たない沖縄の現状に憤りを示し、「普通の暮らしを返せ」などとシュプレヒコールを上げた。今後、事件に抗議する県民総決起大会の開催を目指すことも確認した。
集会は、県内各地の平和運動・護憲団体などでつくる「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」が主催した。沖縄出身でジェンダー学を専攻する大学院生の島袋里穂さん(28)が登壇し、性犯罪が被害者の心に与えるダメージは長く続くと強調。「被害に遭っているのは私と同年代の女性たち。それからずっと若い小さな女の子たち。もううんざりです」と声を振り絞った。
沖縄県内では米軍関係者による性犯罪が繰り返し起きてきた。県警によると、1972年の日本復帰から23年までの間に、現在の不同意性交等にあたる容疑での検挙件数が少なくとも134件。米軍側は綱紀粛正と再発防止を誓うが、根絶にはほど遠い。
集会では「綱紀粛正、こんな言葉は聞き飽きました」「尊厳を繰り返し踏みにじり、謝罪すらしない米軍。もはや沖縄から出て行ってもらうしかありません」とする抗議決議文を採択。軍隊の配備の拒否や、米軍が絡む全ての事件・事故の公表などを求めた。
また、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設工事に絡み、同市安和の工事用土砂搬出現場で6月28日、抗議していた女性と警備員が工事車両に巻き込まれ死傷した事故を受け、原因が明らかになるまでの工事中止を求める決議も採択した。
県内では那覇市や沖縄市など市町村議会で、米兵による事件に抗議する意見書や決議を可決する動きが広がっている。県議会でも、米軍関係者による犯罪事案について県や市町村への迅速な通報を求める日本政府宛ての意見書案と、実効性のある再発防止策を示すよう求める駐日米大使や在日米軍宛ての決議案をそれぞれ10日の本会議で可決する見通し。【比嘉洋】
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