九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)1号機の運転期間が4日、原則とされる40年を超えた。九電の原発で20年の運転延長期間に入るのは初めて。九電は安全性を強調するが、地元からは重大事故時の避難対策がなおざりになっているとの懸念の声が上がる。
40年超の原発は全国で4基目
2011年の東京電力福島第1原発事故後に原発の運転期間が「原則40年、最長で20年延長」と定められて以降、稼働する原発で運転期間が40年を超えたのは、関西電力高浜原発1、2号機(福井県高浜町)、同美浜原発3号機(同県美浜町)に続いて全国で4基目だ。
九電は22年10月の1号機と2号機の運転延長申請を前に、特別点検を実施。原子炉容器を目視や超音波で調べるなどして「問題ない」と結論づけ、原子力規制委員会が23年11月に延長を認可した。2号機は25年11月に40年を迎える。
避難対策に不安
だが、重大事故が起きた時の避難対策について、周辺住民からは不安の声が上がる。川内原発が立地する滄浪(そうろう)地区には約330人が住む。市は約45キロ離れた鹿児島市内へ3ルートで避難する計画を立てているが、ルート上の道路が狭く、曲がりくねった場所も多い。川沿いの低地の場所は、悪天候時に冠水することもある。
住民の不安を高めたのが元日に発生した能登半島地震だ。石川県志賀町にある北陸電力志賀原発周辺から避難する際に使われるはずの道路は、崖崩れや陥没が多発。県は能登半島地震の知見などを踏まえ、避難対策の見直しを検討するが、緒に就いたばかりだ。
住人の60代男性は「『地震と同時に原発事故が起きれば逃げ場がなくなる』との声が住人から上がっている。運転期間を20年延長して『はい終わり』ということではない」と訴える。
4日には原発のゲート前で市民団体が集会を開き、約50人が延長反対などを訴えた。【宝満志郎】
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