ずさんな経営で26人もの命を奪ったことを深く反省し、償ってほしい――。3日、知床観光船沈没事故の集団訴訟を起こした乗客遺族らはオンラインで記者会見し、被告である運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長(61)に対する強い怒りと不信感をあらわにした。
会見には原告29人中、12人が参加。提訴に踏み切った理由について、遺族の一人は「桂田氏が自身の言葉で事故についてきちんと語り、事故の責任が明確にされることを望んでいる」とコメントを寄せた。
その後も、真摯(しんし)な謝罪も十分な説明もしていない桂田氏に対する厳しい意見が相次いだ。我が子を亡くした60代男性は「あの日から私たちは苦しみと悲しみをずっと持ち続けているが、当の桂田氏は平然と自分と自分の家族のために仕事をしている。どうしても許せない」と憤った。その上で「誠意があるなら潔く法廷で自分の責任を認めるべきだ」と断じた。
桂田氏はかつて、被害者弁護団を通じて遺族らに「いつでも個別の謝罪に伺いたい」「賠償もできる限りのことを行う」などと文書で伝えていたが、家族からは「対応がたらい回しにされた」「十分な対応がなく、すごく不満だ」と否定的な声が集中した。
裁判への期待を問われると、きょうだいが犠牲になった20代の男性は「裁判官には私たち家族のつらい気持ちをくみとり、判決に反映させてほしい」と求めた。【伊藤遥、谷口拓未】
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