川崎重工業は3日、同社が受注する海上自衛隊の潜水艦の点検・修理を巡り、取引先との間で架空取引など不適切な行為があったと発表した。架空取引で捻出した資金の一部は海自隊員との飲食などに充てていたといい、同社は特別調査委員会を設置して実態解明を進める。
防衛省も同日、同社から架空取引や隊員への金品・物品の提供などの疑いがあるという報告を受けたと発表。隊員が利害関係者から金品や物品を受け取ると自衛隊員倫理法に抵触する可能性があり、便宜供与の有無も含めて調査している。
同社によると、架空取引が確認されたのは神戸造船所工場修繕部。大阪国税局の税務調査を受けて発覚した。2024年3月期までの6年間に十数億円の申告漏れを指摘され、追徴税額は約6億円になる見通し。
架空取引で捻出された資金の一部は海自の潜水艦の乗組員との飲食を伴う懇親に使われた。潜水艦の修理・点検では従業員と海自の乗組員が数カ月にわたり協力して作業に当たることから、交流を深めるためだったという。商品券や修繕に用いる工具類、生活用品も購入されており、乗組員との間で受け渡しがあったかどうかを調査する。
橋本康彦社長は「心からおわびする。特別調査委員会を通してしっかりと解明したい」などとするコメントを出した。
防衛省によると、潜水艦の修理・点検に関して、横須賀地方総監部と呉地方総監部が同社と年間計約100億円規模の随意契約を結んでいる。4月に同社から報告を受けた。現時点で過払いは確認されていないという。【松浦吉剛】
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