厚生労働省は、将来の公的年金の給付水準を試算する5年に一度の「財政検証」の結果を公表しました。経済成長が進まなければ、現役世代の手取り収入の33%〜37%に落ち込むとしています。
今回の財政検証では、将来の給付水準について経済成長率が異なる4つのケースに分けて試算しました。
国は、年金の給付額の目安を現役世代の平均的な手取り収入の半分を下回らないように定めていて、2024年度は61.2%となっています。
今回の試算では、経済や労働人口が伸びると仮定した3つのケースで将来にわたって50%以上を維持できるとする一方、経済や労働人口が伸びなければ33%〜37%まで落ち込むと示されました。
2019年の前回の試算では、経済がある程度成長しても50%を切るケースがあるとの試算結果が出ていました。
厚労省は、女性や高齢者の労働参加が進んだことや、積立金の運用が好調だったことなどを考慮したとしています。
今回、厚労省は会社員などが対象の厚生年金について、加入要件を見直して適用をパート労働者らにも拡大した場合、年金給付がどれだけ増加するかも試算しました。
さらに、国民全員が加入する国民年金の納付期間を「65歳までの45年」に5年間延長した場合の試算も示されました。
他にも、働きながら厚生年金を受給している人の受給額を減額する在職老齢年金制度について、緩和や廃止した場合の試算も行っています。
検証結果を踏まえて、来年に控えている年金の制度改正に向けた議論が本格化します。
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