傍聴券の抽選に並ぶ人たち=札幌市中央区で2024年7月1日午前11時16分、伊藤遥撮影

 札幌市の繁華街・ススキノのホテルで会社員男性(当時62歳)を殺害し頭部を切断したとして、無職の田村瑠奈被告(30)ら親子3人が殺人などの罪で起訴された事件で、死体遺棄ほう助と死体損壊ほう助の罪に問われた母浩子被告(61)の公判が1日、札幌地裁(渡辺史朗裁判長)であった。父で精神科医の修被告(60)=殺人ほう助罪などで起訴=が証人尋問に出廷し、事件後に通報しなかった理由について「娘を裏切ることになると思った」と述べた。

 修被告は瑠奈被告の指示で頭部の損壊をビデオカメラで撮影した理由を問われ「娘の行動をとがめると、精神状態が悪化する。正直、時間が早く過ぎればと思っていた」と説明。瑠奈被告が約10年前から自殺未遂などを繰り返すようになり、親として言うべきことを言えなくなったとしたが「自他を傷つけることや犯罪行為は(頼まれても)断る」と殺害の容認は否定した。

 一方、検察側は「父を殺した相手は許せない。私たちが望んでいるのは一家全員の極刑だ」などとする被害男性の息子らの供述調書を読み上げた。

 起訴状によると、瑠奈被告は2023年7月1日、札幌市のホテル客室内で、北海道恵庭市の男性を殺害。切断した頭部をキャリーケースに入れ、修被告が運転する車で札幌市内の自宅へ持ち帰った。浩子被告は、頭部を自宅に隠したり、頭部を損壊する様子を撮影したりするのを容認したとしている。【後藤佳怜、伊藤遥】

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