旧優生保護法下で不妊手術を強制されたとして被害者らが国に損害賠償を求めた5件の訴訟の上告審で、最高裁大法廷は3日、判決を言い渡す。上告審では、不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅すると定める民法の「除斥期間」を適用するかが最大の焦点となっている。全国で起こされた同種訴訟で国の責任を巡る判断が割れる中、判決は、最高裁による初の統一判断となる。
上告審の審理対象は札幌、仙台、東京、大阪(2件)の各高裁の判決計5件。いずれの判決も旧法が憲法に違反していたと認めた。
ただ、被害者が手術を受けたのは1950~70年代ごろで、その後の提訴まで20年以上が経過していた。仙台高裁は「時の壁」とも評される除斥期間を理由に被害者の請求を棄却した。
一方、残りの4高裁は除斥期間の適用が「著しく正義・公平の理念に反する」として制限し、被害者1人当たり1100万~1650万円(配偶者は220万円)の賠償を国に命じた。
上告審で被害者側は、障害者への差別や偏見が根強く残る中、被害者が訴訟を起こすことは困難だったとし、「時の経過で国の免責が許されていいはずがない」と訴えた。
国側は、被害者の認識に関係なく、除斥期間は適用されると主張した。除斥期間の適用の制限は、加害者の不法行為によって被害者が賠償請求できなくなったような極めて例外的な場合に限られるが、今回はそうした事情がないと反論した。【巽賢司】
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