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 千葉県君津市の廃校で行われている「日本の学校体験」が、外国人観光客に人気となっている。実はこの体験、君津市のような街が抱える様々な問題を解決するための一筋の光となっていた。

■参加者“日本の学校生活を体験したい”

外国人観光客 この記事の写真

 山奥にある、とある学校の教室。制服を着て授業を熱心に聞いているのは、外国人の観光客たちだ。

 実はこれ、「もしも自分が日本の高校生だったら…」をテーマに、去年11月から千葉県君津市の廃校で行われているインバウンド向けの学校体験サービスだ。一体どんな内容なのか?

 1限目は「国語」の授業。

生徒
「起立、気をつけ、礼!よろしくお願いします!」

 実際の学校と同じく、日直の号令から授業開始。まずは、筆を使って好きな漢字を選んで書く書道体験。

アメリカから“登校” ダニさん
「たくさん…とにかく練習しないと」 書道体験(1)

 アメリカ人のダニさんが選んだ漢字は「侍」だ。

ダニさん
「私は侍など色々な日本の文化にとても興味があるから、この漢字にしました」 書道体験(2)

 ダニさんの友人・テレサさんが書いたのは「忍」。

 日本のサブカルチャーが大好きだという2人は、「呪術廻戦」や「NARUTO」といった漫画やアニメでよく見る「日本の学校生活」をどうしても体験したいという思いから、今回参加したという。

人口減少による廃校も

 学校体験の舞台・君津市は人口減少により廃校が16にまで増えている。また、鴨川など人気観光地への単なる通過点になってしまっていて、インバウンド向けの観光コンテンツの拡充が課題になっている。

パン食い競争 避難訓練

 学校体験では「体育」もあり、綱引きやパン食い競争、玉入れなどが行われるほか、多くの人が一度は体験した避難訓練や、今の時代、見なくなったこんなシーンも見られる。

バケツを持って廊下に立たされる生徒 先生
「何をしたの?」 廊下に立たされた生徒
「テストでカンニングしたんだ…」

 バケツを持って廊下に立たされる生徒が登場した。

先生
「これは割と古い習慣です。最近はこの罰は行われません」 苦笑い

 説明を聞き、アメリカ人のダニさんは苦笑い。

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■新たな観光の目玉に…運営「地域ににぎわいを」

■新たな観光の目玉に…運営「地域ににぎわいを」

 ちょっと驚いた生徒たちを笑顔にさせたのは「給食」だ。

給食の配膳 給食当番 ダニさん
「もっと入れる?」 生徒
「もっと!」 給食当番 ダニさん
「はーい!」

 生徒自ら配膳を行うことは、アメリカでは経験したことがないというダニさん。

給食

 メニューは昔ながらのカレーライスや揚げパンだ。千葉県民にはおなじみの給食メニュー「ピーナツみそ」もある。

ダニさん
「とてもおいしいです。それに地元の物を食べられるのもいいですね」 卒業式

 そして学校体験の最後に行われるのが「卒業式」。

ダニさん
「皆さんが日本の学校でやっているほとんどすべてのことを実際に経験してみることができて、本当に素晴らしい経験でした」

 学校体験を運営する、運動会屋の米司隆明代表は、このイベントが君津市の新たな観光の目玉になればと話す。

運動会屋の米司隆明代表 米司代表
「もっともっと魅力を発掘して発信できるようにして、こういう新しい魅力も作って地域ににぎわい作りたいですね」

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■廃校が呼び込むインバウンド

■廃校が呼び込むインバウンド

 今回、取材したサービスは新たな廃校の利用方法となるのか注目されている。

 文部科学省によると、少子化に伴う児童・生徒数の減少などにより、全国で毎年およそ450校が廃校施設になっているという。

手を加えず廃校を有効活用

 学校体験サービスを運営する「運動会屋」代表の米司さんは、「何とか廃校をそのままの形で利用できないか」と思い、この昭和学校体験サービスに行きついたという。

 事業立ち上げに費やしたコストは、およそ600万円。観光庁が実施していたインバウンド向け事業の補助金を活用し、役者や制服など必要なものをすべて準備したという。

インバウンド需要を

 学校を使用するうえで、かかる維持費などは事業が軌道に乗り始め、現在、利益分でペイでき始めたという米司さん。「『日本文化を体験したい』という外国人のニーズが高い今回の取り組みが実績となれば、観光資源が少なく、インバウンドの恩恵を受けられていない地域の活性化にもつながる。何もないところからコンテンツを作り、地域ににぎわいを創出する『地域創生事業』につなげたい」と話している。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年7月1日放送分より)

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