富士山5合目の小御嶽神社の開山祭では、てんぐが鳥居に渡したしめ縄を断ち切る「お道開き」の儀式があった=山梨県内で2024年7月1日午後0時4分、野田樹撮影

 山開きを1日迎え、山梨県による入山規制が始まった富士山の県側登山道「吉田ルート」。強風のため、ふもとと5合目をつなぐ有料道路「富士スバルライン」が同日午前0~9時まで通行止めとなり、荒れ模様の初日となった。5合目では、登山者安全対策現地連絡本部の開所式があったほか、小御嶽神社で開山祭も行われた。

 県によると、午前3時のゲート開放後、スバルラインの通行止めが解除されるまでにゲートを通過したのは3人にとどまった。

 その後、車利用者が5合目に到着し、登山者が増えてきた午前9時半以降は、受け付けに行列ができていた。中には軽装で登ろうとする人もおり、5合目などで環境保全や安全指導に取り組む富士山レンジャーの藤間由起さん(55)によると、ジーンズを履いた登山者に対し、雨でぬれると低体温症の危険があると注意喚起したという。外国人登山者が自国での登山を念頭に軽装で訪れるケースがあり、「下が晴れているため、短パンやスパッツのような軽い服装の方が多い印象を受けた」と話した。

 現地連絡本部の開所式は午前10時過ぎ、県の「富士山五合目総合管理センター」で開かれた。県警や救護所など関係機関の態勢や活動時間を確認した。県富士山保全・環境エコシステム推進グループの岩間勝宏推進監は「我が国初の登山規制がスタートした。トラブルが起きた時に連携して影響を最小限に食い止められるように対応してください」と呼びかけた。

 小御嶽神社の開山祭には、観光業者や富士講の講員らが集まった。神社は、道開きの神様としててんぐが祭られ、てんぐの面をつけた2人が鳥居に渡されたしめ縄を断ち切り、開山を告げた。その後、富士山をかたどったみこしなどがロータリーや登山道を練り歩き、開山期間中の登山者の安全を祈った。【野田樹】

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