イギリスを訪問している天皇陛下が公式日程を終えて、記者団の取材に応じました。陛下は今回の訪問を振り返り「イギリスは思い出の地で、2人で訪問できて大変幸せだ」と話されました。
■イギリス王室への感謝…“お天気”も
日本時間28日未明、天皇陛下が訪れたのは「王立キュー植物園」。
王立キュー植物園 園長「きょうはぜひとも、我々とともにいい時間を過ごしてください」
園内の貴重な植物を見て回られた陛下は、スタッフの説明に熱心に耳を傾けられました。
「王立キュー植物園」を訪れた天皇陛下 この記事の写真 王立キュー植物園 担当者「これは盆栽彫刻です。実際の盆栽に基づいて、幹のサイズを拡大した作品になります」
日本時間午前1時すぎ、視察を終えられた陛下がカメラの前で記者からの質問に答えました。
にこやかな表情で記者団に何度も会釈しながらお出ましになられた天皇陛下。
天皇陛下「このたびイギリス政府からご招待をいただき、雅子と共にイギリスを国賓として訪問できたことをうれしく思っております。チャールズ国王陛下、カミラ王妃陛下には歓迎式典、また馬車によるパレード、そしてバッキンガム宮殿における午餐会(ごさんかい)、夕食会を催していただき、大変心温まるひと時を過ごさせていただいたことを大変ありがたく思っております」
冒頭にイギリス王室への感謝を述べられた陛下。
天気について問われる天皇陛下 天皇陛下「(Q.陛下がお天気と夏を連れてきてくれたんじゃないかと。お天気についてはいかがですか?)どこかで雨に降られるというふうに思っていたんですけれど、また留学中にもやはりイギリスの天気は非常に変わりやすいという印象を持っていましたので、どこかでは雨にもあうなと思っていましたけども。今回、本当に毎日このいい天気に恵まれて、これもありがたいと思っていますし。また特にこう日が差している関係もあるのか、色々この花とか色々木とか、それから草原なども非常にきれいで、また一つそういったことも思い出作りになったのではないかなと思っています」
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■「イギリス両国の友好親善に貢献」■「イギリス両国の友好親善に貢献」
パレードで手を振る天皇陛下天皇陛下は、パレードなどで沿道に集まったイギリス国民にも感謝の言葉を述べられました。
沿道に集まった人々 天皇陛下「また今回は馬車でのパレードの時もそうでしたし、また車で走っているときにも沿道から多くの方に手を振っていただいたりして、非常に温かく迎えていただいていることを大変うれしく思っております」
国王夫妻主催の晩餐(ばんさん)会。スピーチの中で陛下が話されたジョークについては…。
天皇陛下「みなさん笑っていただいたのがうれしかったですね」
記者団からは陛下のスピーチについての質問も上がりました。
天皇陛下「(Q.陛下でも緊張されることがあるのかなと思ったのですが?)しかし何か本当に、今回も感じましたけれども、非常に温かい雰囲気の中で晩餐会、バッキンガム宮殿もそうでしたし、それからギルドホールもそうでしたし、非常に温かい雰囲気の中でスピーチをすることができて、本当に何か比較的リラックスしながらのお話をすることができましたし。皆さんがこちらの方よく聞いてくださっているということが分かって、これは大変話している私としてもうれしく思いました」 顕微鏡を覗く天皇陛下 「また視察先としては、今回フランシスクリック研究所にも訪れましたけれども、そこでは本当に最先端のがんの治療ですとか、それからインフルエンザの対策ですとか、そういった最先端の研究が今回、日本の研究者など日英の研究者両方で進められていて、最先端の技術というものも感じましたし。イギリスは本当に古いものを大切にしながら、そしてまた一方で非常に新しいものを生み出している。そういうところもまた非常に興味深く思いました」 「今回の私たち2人の国賓としての訪問が今後の日本・イギリス両国の友好親善に貢献すること心から願っております」 「(Q.お忙しい中お時間をいただき、ありがとうございました)よろしいですか。どうも、ありがとうございました」
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■国王夫妻の見送りも…■国王夫妻の見送りも…
バッキンガム宮殿でチャールズ国王夫妻へのお別れのあいさつをされた天皇皇后両陛下。
チャールズ国王 チャールズ国王「Take care of yourselves(どうかお元気で)」 カミラ王妃
滞在中の国王夫妻との面会はこれが最後。チャールズ国王は天皇陛下と握手を交わし、カミラ王妃は雅子さまに優しく触れ、微笑みます。別れを惜しむかのように一歩ずつ、一歩ずつ、ゆっくりと歩みを進められます。
“チークキス”をする雅子さま最後には、雅子さまが国王夫妻に“チークキス”。
国王夫妻に見送られ、バッキンガム宮殿を後にされました。
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■英語で会話…子どもたちと同じ目線も■英語で会話…子どもたちと同じ目線も
“おそろいコーディネート”の両陛下国王夫妻とのお別れの後、ロンドン市内の博物館に到着された天皇皇后両陛下。雅子さまは淡いピンク色のスーツ姿。天皇陛下も同じ色のネクタイをされ“おそろいコーディネート”です。
両陛下が訪れたのは「V&A子ども博物館」。子どものために作られたイギリス最大級の国立博物館です。
チャールズ国王「ハローキティのお誕生日をぜひお祝いしたいと思います!」
チャールズ国王のスピーチでも話題となった“日本文化”。博物館では日本文化についての特別展を開催。「ドラえもん」や「鉄腕アトム」などといった人気漫画やアニメが紹介されています。
さらには、人気アニメ映画「となりのトトロ」の舞台が上演され、両陛下も鑑賞されました。“子どもたちとの交流”を楽しみにされていた天皇陛下。イギリスの子どもたちに、英語で声を掛けられます。
天皇陛下「Do you find it difficult?(難しく感じますか?)」 女の子
「ノー」
さらに、腰を落として、子どもたちと同じ目線で話されるご様子も。“日本文化”を通じて、日英の子どもたちとの時間を過ごされました。
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■エリザベス女王、フィリップ殿下の墓に供花■エリザベス女王、フィリップ殿下の墓に供花
日本時間27日午後11時半ごろ、エリザベス女王が眠るウィンザー城にある聖ジョージ礼拝堂を訪れた天皇陛下。
門の前に集まった人たち門の前に集まった人たちに手を振り、司祭の案内で、エリザベス女王が眠る墓へと向かわれます。
聖ジョージ礼拝堂を訪れた天皇陛下およそ30分後、礼拝堂を後にした天皇陛下。
エリザベス女王とフィリップ殿下の墓エリザベス女王とフィリップ殿下の墓に花を供え、これまでの“お礼の気持ち”を伝えたといいます。
天皇陛下「本来であれば、4年前にエリザベス女王陛下からのご招待でもってイギリスに来る予定になっていましたけれども、その時はうかがえないことになってしまったこと。これは本当に残念に思っております。今回はエリザベス女王陛下、それからエディンバラ公フィリップ殿下に今までのお世話になったこと、本当に良くしていただいたことに対する心からのお礼の気持ちで、きょうは参拝をさせていただきました」 エリザベス女王と天皇陛下
エリザベス女王とフィリップ殿下の墓に花を供えることは、陛下自らが希望されて実現したといいます。2001年に皇太子として、イギリスを訪問された天皇陛下。その際に宿泊されたのがウインザー城です。エリザベス女王自らが案内してウィンザー城内を見学するなど、天皇陛下はこれまでエリザベス女王と、長きにわたって親密な関係を築いてこられました。
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■思い出の地、訪問「本当に大変幸せなこと」■思い出の地、訪問「本当に大変幸せなこと」
1983年から2年間にわたりイギリスに留学された天皇陛下。その際にも、エリザベス女王からバッキンガム宮殿に招待されるなど、多くの心遣いを受けられたといいます。
留学中の体験を記された著書「テムズとともに 英国の二年間」では、この時の様子が詳しくつづられています。
バッキンガム宮殿に招待された際は… 「テムズとともに 英国の二年間」徳仁親王・紀伊國屋書店刊
「幾分緊張もしていたが、会話はとても楽しかった。また、英国の『ティー』とはどういうものかと思っていた私には、女王陛下自らがなさって下さる紅茶の淹れ方と、紅茶とともに並ぶサンドイッチやケーキの組み合わせに興味をひかれた」 天皇陛下
「エリザベス女王陛下には、来日された時にも、私はまだ小さかったですけど、お会いしましたし、それ以降、特に留学している間はバッキンガム宮殿にお茶に呼んでいただいたり、都度都度、本当にいつもよくしていただいた」
2020年には、即位後初めての外国訪問として、エリザベス女王から招待を受けていた天皇皇后両陛下。それから4年越しとなった今回のイギリス訪問。
チャールズ国王「今宵(こよい)、両陛下をバッキンガム宮殿にお迎えできることを、私と妻は大変うれしく思っています。英国に『お帰りなさい』」 「本当に幸せなこと」 天皇陛下
「やっぱりなんか思い出の地に戻ってきたという印象を強く持ちましたし、そのような中で『お帰りなさい』というふうに言っていただいた。『ウエルカムバック』というようなことを、多くの方から言っていただいたこと、本当にこれは私はうれしかったですし、その思い出の地に今回、雅子にとっても思い出の地ですので、二人でもって立つことができた。これは本当に幸せなことだと思っています」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年6月28日放送分より)
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