沖縄県に駐留する米空軍兵が少女を誘拐し性的暴行したとして起訴された事件や、沖縄の海兵隊員が5月に不同意性交等致傷容疑で逮捕され、同罪で起訴された事件を受け、米軍基地を抱える沖縄本島中部の市町村長は28日、本紙取材に応じ、「決して許されない事件」「絶対にあってはならない事件」などと怒りをあらわにした。嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)は近日中に米軍に抗議する方針だ。
嘉手納基地所属の空軍兵が起訴されたことに、嘉手納町の當山宏町長は「嘉手納基地が所在する自治体として、衝撃を持って受け止めている。強い憤りを禁じ得ない」と話した。
日本政府と検察、沖縄県警は起訴から3カ月後に報道で表面化するまで沖縄県や地元市町村に伝えていなかったことについては「今回の事件は空軍兵だが、われわれ地元自治体にも連絡はない。被害者やその家族のプライバシーは最大限配慮しないといけないが、これだけの重大事件を関係自治体や関係機関に提供しないということは理解できない」と批判。「我々は地域住民の安全を守る立場であり、情報がなければ対策も講じられないし、綱紀粛正も求めることもできない」と厳しい表情を浮かべた。
米軍普天間飛行場などのある宜野湾市の松川正則宜野湾市長は「少女が被害を受けた考えられない事件であり、遺憾だ」と語った。さらに、これとは別に、女性に性的暴行を加えけがをさせたとして県警が5月に在沖米海兵隊員を逮捕していたことが発覚したことに触れ「(普天間飛行場を抱える)市としても事実確認をしており、防衛省と外務省に抗議的なメールを送った。情報がマスコミからしか入ってこない。事実をきちんと把握しなければならない」と話した。
北谷町の渡久地政志町長は「北谷でも過去に同様の事件が発生している。繰り返される事件を未然に防ぐためにも、外務省と防衛省は米軍としっかり情報共有すべきだ」と強調。
北中城村の比嘉孝則村長は、村議会が27日に全会一致で抗議決議案を可決したことに触れ「復帰52年を経ても同様の事件が起き続けている。住民の憤りも強く感じている」と話した。
(中部報道部・吉川毅、比嘉大熙)
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