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 「調理オペレーションの改善と、調理マニュアルの再徹底を行い、再発防止に努めてまいります」と謝罪したのは、多くのファミレスチェーン店を運営するすかいらーくレストランツ。事の発端は、Xで拡散されたポスト。投稿者はチェーン店で蕎麦を注文したそうだが、具材の鶏肉がどう見ても「生」だったと写真付きで訴えた。数日後にすかいらーく側が、運営するとんから亭で「鶏肉の加熱状態が確認できていなかった」と説明し、謝罪を掲載した。

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 この騒動にネット上で不安の声が寄せられると、店の管理責任はもちろんのこと、“生肉ポリス”も登場。そもそも生肉自体のアリナシ論まで議論が広がる事態に。牛肉や豚肉には生食規制がある一方、実は鶏肉について法的な規制はない。

 食中毒の危険もある中、現状で問題ないのか。『ABEMA Prime』で考えた。

■鶏肉の生食「“新鮮だから大丈夫”ではない」「内蔵はまず危ない」

 2011年、富山県の焼肉店の和牛ユッケで181人が食中毒を起こし、5人が死亡した。同年 に生食用牛肉の基準が策定され、翌2012年に牛レバーの生食用販売・提供を禁止。2014年、居酒屋の豚の生レバーで2人が食中毒を起こし、翌2015年に豚の肉や内臓の生食用販売・提供が禁止された。ただ、鶏肉に基準はなく、原則「加熱調理前提」となっている。

 そんな中、鹿児島では「鶏刺し」提供の取り組みを進めてきた。2000年に県独自のガイドラインを策定(2007年に宮崎県も)。2012年にとりさし協会が発足し、前述の2011年の事故を受けて、食肉加工の工程における注意点の周知などに取り組む。2017年、加熱用・生食用の明記を厚労省が通達し、加熱用を生食で提供すると食品衛生法違反に該当するようになった。

 とりさし協会専務理事の早田和正氏は「鹿児島・宮崎では鶏刺しを食卓で食べる文化があり、両県が独自に生食用の鶏肉のしめ方、加工、提供の基準を作っている。それに基づいて、日常的にスーパーで販売しているし、ほとんどの飲食店で鶏のたたきや鶏刺しが提供されている」と説明。

 また、「問題は内蔵で、その菌が他の部位に付着して二次感染が起こる。“新鮮だから大丈夫”ではなく、菌が付着しないような解体を鹿児島・宮崎ではやっている」とした上で、「提供できるのはもも肉、胸肉。例えば、お店でレバーや砂肝の刺身が出てきたらまず危ないと思ってほしい」「生食用として流通しているものなら基本的には大丈夫だが、それはお客さんは知り得ないこと。通常の養鶏場から仕入れたものを鶏刺しで出すのも駄目だが、使っている店が多いのは我々も困惑しているところだ」と語る。

■「すぐに治るなら鶏の刺身やタタキを食べたい」と再び受診する人も

 谷口医院院長の谷口恭氏は「鶏刺しで食中毒を起こす人はけっこう多い。『高級店だから大丈夫だと思っていた』と言う人もいるが、あまり関係ない。ただ、日本の文化でもあり、絶対に反対という立場ではない。我々の仕事はリスクを知らせることだ」と説明。

 さらに、「妊娠中の女性は特にリスクが大きいことを伝えたい。カンピロバクターだけではなく、トキソプラズマは母子感染で胎児に障害が出る可能性もある。妊娠中の女性から相談を受けた際は、『生肉なんて論外』『サラミや羊の生のミルク、タタキも全部やめたほうがいい』と話している」とする。

 これに早田氏は「鹿児島・宮崎両県の加工基準の中に、注意喚起をきちんとした上で販売することが盛り込まれている。妊娠中の方や子ども、高齢者、体調の優れない方は控えるように、と告知することになっている」と付け加えた。

 谷口氏によると、腹痛と引き換えに食べ続ける人もいるという。「鶏の刺身を食べた」という患者が腹痛と下痢、高熱で受診したところ、カンピロバクターを検出。2年後に再びカンピロバクターが検出されたが、その人は「高熱と腹痛は苦しかったが、すぐに治るなら鶏の刺身やタタキを食べたい」と話したということだ。

 谷口氏は「3回受診に来た人には、ギラン・バレー症候群のリスクの話をする。カンピロバクターに感染すると抗体ができるのだが、過剰に暴走して神経を傷つけてしまうことがある。最悪、一生寝たきりにもなるので、『そこまでのリスクを背負えますか?』という話をする」と注意を促した。(『ABEMA Prime』より)

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