米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)の米空軍兵が少女に性的暴行を加えたとして起訴された事件を受け、同基地第18航空団司令官のニコラス・エバンス准将とマシュー・ドルボ在沖縄米国総領事が27日、沖縄県庁を訪れ、事件について池田竹州(たけくに)副知事に説明した。池田副知事は「女性の人権をじゅうりんする悪質なもので、断じて許すことはできず、強い憤りを覚える」と抗議し、被害者への謝罪と補償、実効性ある再発防止策の実施などを求めた。
エバンス准将は「深い懸念を持っており、皆さまに心配をおかけしていることを遺憾に思っている」と述べたが、謝罪の言葉はなかった。米兵の身柄は起訴後、日米地位協定などに基づき日本側に移されたが、その後、保釈が認められた。エバンス准将は報道陣の取材に「米兵は嘉手納基地の中で拘束されており、基地の外に出ることはない。パスポートも米政府が回収している」と説明した。
起訴状などによると、米空軍兵長、ブレノン・ワシントン被告(25)は2023年12月24日、沖縄本島中部の公園で16歳未満の少女を車に誘って基地の外にある自宅に連れ込み、下半身を触るなどの暴行を加えたとされる。
県警によると、少女の関係者が事件当日に110番。県警は任意で捜査して24年3月11日に書類送検し、那覇地検が3月27日、わいせつ目的誘拐と不同意性交等の罪で起訴した。日本政府は同日、岡野正敬外務次官がエマニュエル駐日米大使に綱紀粛正と再発防止の徹底を申し入れた。だが、外務省などから県に連絡はなく、県は6月25日の報道で初めて事件を知った。
こうした経緯も含め、沖縄県内では怒りの声が広がっている。那覇市や浦添市などの議会では事件に抗議する日米両政府宛ての意見書や決議が可決され、県議会でも同様の意見書や決議をまとめる動きがある。【比嘉洋】
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