マシュー・ドルボ在沖縄米国総領事(左手前)と第18航空団司令官のニコラス・エバンス准将(左奥)に抗議文を手渡す沖縄県の池田竹州副知事=沖縄県庁で2024年6月27日午前9時38分、喜屋武真之介撮影

 米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)に所属する米空軍兵がわいせつ目的誘拐と不同意性交等の罪で起訴された事件を受け、同基地の第18航空団司令官、ニコラス・エバンス准将と、マシュー・ドルボ在沖縄米国総領事が27日、沖縄県庁を訪れ、事件への対応などについて池田竹州(たけくに)副知事に説明した。池田副知事は「女性の人権を蹂躙(じゅうりん)する重大かつ悪質なものであり、断じて許すことはできない」とする玉城デニー知事の事件への抗議文を読み上げ、被害者への謝罪と補償、実効性ある再発防止策を求めた。

 エバンス准将は「この件に深い懸念を持っており、皆さまに心配をおかけしていることを遺憾に思っている」と述べたが、謝罪の言葉はなかった。

 起訴状などによると、米空軍兵長、ブレノン・ワシントン被告(25)は2023年12月24日、沖縄本島中部の公園で、16歳未満の少女に「寒いから車の中で話さない?」などと誘い、車で基地の外にある自宅に連れ込み、下半身を触るなどの暴行を加えたとされる。

 県警によると、少女の関係者が事件当日に110番した。県警は任意で捜査し、24年3月11日に書類送検。那覇地検が3月27日に起訴した。被告の身柄は日米地位協定などに基づき、いったん日本側に移され勾留されたが、その後、保釈が認められた。

 日本政府は同日、岡野正敬外務次官がエマニュエル駐日米大使に綱紀粛正と再発防止の徹底を申し入れた。しかし、県に連絡はなく、県は6月25日の報道で初めて知り、外務省沖縄事務所を通じて事実関係を確認した。玉城知事は県に連絡がなかったことについて、26日の報道陣の取材に「怒り以外の言葉がない。我々も県民の安全を守る責任がある。結果的に県民に不利益を与える」と述べた。【比嘉洋】

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