カルビーが数量限定で発売する「ポテトチップス うすしお味 できたて実感パック」=同社提供

 スナック菓子大手カルビーは26日、製造後10日以内に店頭に並ぶのが売りの「できたて実感パック」を数量限定で発売した。発売から60周年を迎えた看板商品「かっぱえびせん」に加え、昨年の試験販売で好評だった「ポテトチップス うすしお味」の2種類。同社は「生産者と二人三脚で開発した原材料の風味を楽しんでもらいたい」とアピールしている。

 2022年度の年間生産量は、ポテトチップスが約9億3000万袋、かっぱえびせんが約1億6000万袋とカルビーの看板商品。原材料費や物流費などの高騰で値上げが続くが、商品発売から「おおむね右肩上がりで推移している」(広報)という。

カルビーが数量限定で発売する「かっぱえびせん できたて実感パック」=同社提供

 「できたて実感パック」のポテトチップスは23年4月と10月に試験販売し、「じゃがいもの風味が強い」「においが新鮮」などと好評で、完売した。今回は一部店舗を除く全国のセブン―イレブンで販売し、店頭想定価格はポテトチップス(77グラム)が税込み205円前後、かっぱえびせん(76グラム)は同185円前後。

 製造後数日以内に商品を出荷する戦略の歴史は長い。代表例はアサヒビールの「スーパードライ」で、1993年に製造後10日以内の出荷を達成。19年には製造翌日の出荷を実現した。「できたて」という商品自体の魅力向上に加え、企業の生産と物流体制の強さをアピールする材料にもなっている。

 出荷短期化の商品は、足元の経済状況を反映している可能性もある。飲食料品のトレンドを分析する民間企業「味香り戦略研究所」の調査によると、今年1~6月のトレンドは「よく知っているブランドへの回帰」や「うまみ」だった。

 新型コロナウイルス禍では外出自粛などのストレスから苦みや酸味など「インパクト重視」だったが、消費者は足元の物価高による「消費行動の見直しを強いられる経済的な不自由感」に直面し、新商品よりも「安心感」を求めていると指摘する。メーカー側は、安心につながる満足感を高めるために「濃いうまみ」や「余韻」を強める工夫をしているという。

 カルビー広報は今回の「できたて実感パック」について、「コンビニで毎週のように出る新商品に目が移りがちな人にも、改めて定番商品を手に取って、完成された味を楽しんでほしい」と話す。定期的な販売など今後の商品化の方針は未定という。【中島昭浩】

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