勉強会の会場に入る片岡春雄町長(手前)=北海道寿都町で2024年6月24日午後6時22分、片野裕之撮影

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定に向けた文献調査が進む北海道寿都町は24日夜、町民向けの第1回勉強会を町内の磯谷会館で始めた。地区の住民ら約10人が出席。文献調査報告書完成後の住民投票実施に向け、町が本格的に動き出した形だ。

 出席した複数の住民によると、国が進める地層処分事業などについて町職員が説明した後、住民の疑問や不安を聞き取った。公平性を担保するためとして、原子力発電環境整備機構(NUMO)の職員は不参加。報道陣は事前に公開を求めたが、「町民が落ち着いて学べる環境をつくる」として全て非公開だった。寿都町の片岡春雄町長は勉強会終了後、報道陣の取材に応じなかった。

 佐賀県玄海町が5月、経済産業省の申し入れに応じる形で文献調査を受け入れると表明したことを受け、寿都町の片岡町長は勉強会の開催を決めていた。

 経産省の作業部会で審議されているNUMOの報告書案が完成した後、寿都町は次の段階に当たる概要調査に進むかを問う住民投票を実施する。町民の判断材料を提供するためとして、町は今後も複数回、勉強会を開く方針だ。第1回は7月3日まで町内7地区で開催し、専門家が登壇するシンポジウムも検討している。

 同じく文献調査が進む神恵内村も住民投票を検討しているが、勉強会などは予定していないという。【片野裕之】

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