18日午後8時35分ごろ、東京都墨田区八広1の明治通りの交差点で、車椅子に乗って横断歩道を渡っていた女性が、左折してきた大型トラック(13トン)にはねられた。警視庁によると、女性は50代くらいで、体を強く打っており、その場で死亡が確認された。信号機のある十字路交差点を1人で横断していたという。
警視庁は19日、トラックを運転していた千葉県流山市三輪野山3の会社員、島田光将容疑者(52)を自動車運転処罰法違反(過失致死)の疑いで逮捕した。島田容疑者は「左折したときに巻き込んだ」と容疑を認めているという。警視庁は事故の原因を調べている。
現場は京成曳舟駅から北東に約300メートル離れた住宅街。
「日本は歩行者が事故に遭いやすい」
警察庁によると、手動の車椅子を利用中に車などと衝突する事故で死亡した人は、2013~23年の11年間で計19人だった。
事故件数や負傷者数は交通事故全体の状況と同様に減少傾向にあり、13年の101件(負傷者数101人)から、20年は35件(同39人)にまで減少。コロナ禍による行動制限が緩和されて微増し、23年は53件(同53人)だった。
警察庁の担当者は「車椅子の利用者は道路交通法上、『歩行者』として扱われる。夜間は車から視認しやすいように反射材などを活用してほしい」と話した。
モビリティージャーナリストの楠田悦子さんは「車椅子は歩行の補助。歩行者とみるべきだ」と指摘する。
楠田さんによると、日本は欧米に比べて歩行者保護の意識が低い傾向にあるという。日本自動車連盟(JAF)の調査では、歩行者が歩道を渡ろうとした際に一時停止した車は45%だった。停止率は年々増加傾向にあるものの、依然として半数以上は歩行者がいても停止しないのが現状だ。
「日本はまだ車優先という意識が根底にあり、車椅子利用者を含む歩行者が事故に遭いやすい社会構造になっている。歩行者優先とはどういう場面かを具体的に想定した運転の仕方を教育することなど、車中心社会からの意識を変えることが必要だ」と話した。【朝比奈由佳、宮城裕也】
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