高温などによって毎年のように相次ぐ農作物被害に、関係者が警戒を強めている。岩手県は18日、被害防止技術対策会議を開き、実践可能な対策技術や優良事例を示した上で被害の防止や軽減を図るよう呼びかけた。
夏場の記録的な猛暑により、2023年にはさまざまな農作物の収量や品質の低下が発生した。今年も8月までの気温が高くなる予報が示され、影響が懸念されている。会議は岩手県が農協や農業改良普及センターなどの関係者を集め、初めて開催した。
盛岡地方気象台からは、24年には高気圧に覆われて晴れた日が多く、4月中旬~6月中旬に東北地方で降水量が少なかったと報告があった。6~8月の天候についても、平均気温が高い見込みが示された。
そこで作物への被害を防ぐために果樹や野菜の品目ごとに、効果が見込めるさまざまな対策が挙げられた。
リンゴについては、気温が急激に上昇する恐れのある梅雨明け後に袋状の被覆資材で果実を包み、日焼けから守る対策が紹介された。花芽の発達中に強い日差しにさらされると着色異常が生じるリンドウについても、日光を遮る幕を屋根のように設置する方法が示された。
水稲では、水の入れ替え頻度を高めたり、気温の高い昼間を避けて夜間に水を入れたりして、水温や地温を下げる対策が提示された。高温時に水分不足になりやすいトマトには、午前だけでなく午後にも水やりする方法を紹介した。
会議では、冬場に少雪だったことに加え、4~5月に少雨だった影響で岩手県内の農業用利水ダムの貯水率が平年を下回っている現状の報告もあった。エリアごとに計画的にダムから配水するなどやりくりしながら、必要な時期に水を確保できるようにする対策も求められるという。
岩手県の照井富也農政担当技監は高温被害対策について「優良事例をまとめている。事例を参考に各地でできること、しなければいけないことを考えてもらい取り組んでもらいたい」と話している。【釣田祐喜】
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